歳時記 その17 《調理と変異原性》
食品に含まれる発ガン物質としては、ゼンマイ中に含まれるプタキロサイト、アフラトキンのようなカビ毒性物質、ハムの製造中に発色剤により生成されるN-ニトロソアミン、動物性食品の加熱時に生成されるヘテロサイクリックアミン類などが知られている。
一方、食品に含まれる発ガン物質の生成を阻害する物質では、アスコルビン酸、カロテン類がある。
実際の調理にあたっては、動物性食品と植物性食品は同時に利用することが多いことから、名城大学の小原章裕・松久次雄氏らは豚肉と何種類かの野菜を一緒に調理し、豚肉中の発ガン物質の消長について検討している。(日本調理科学会誌43巻、6号333~340ページ、2010)
この研究では、食品に含まれる物質の変異原性物質に感度の高い菌株のサルモネラを利用して、培地に食品から調製した検体の液体を加えて37℃で48時間培養後に生じたサルモネラの菌数から、発ガンに対する抑制率を算出している。
その結果、肉を「焼く」「揚げる」「煮る」などの実験では、鶏肉でも豚肉でも加熱温度が高くなるほど、変異原性物質の生成量が増加することを明らかにしている。
野菜と一緒に加熱した場合は、ニンジンのようにカロテンを多く含む野菜、ダイコンのようにビタミンCを多く含む野菜と一緒に加熱すると変異原性抑制率が高いことも示し、香辛料を加えて加熱した場合は、コショウ、トウガラシの変異原性抑制率が高く、調味料の場合には醤油、味噌、食酢(穀物酢、黒酢)で高い変異原性率を示していることを報告している。
食品中のガン抑制効果が話題になってから、野菜に含まれる変異原性抑制効果が注目されているが、この実験からも日常の食事には野菜の利用が重要であることが理解できる研究である。

                                                        文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-01-05 20:24 | 添加物歳時記
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