お節料理に欠かせない食材が蒲鉾である。
紅白色の蒲鉾を使うことにより、正月を祝う意味があり、赤色だけでも「日の出」を意味するので、正月の祝い食品として用意される。
蒲鉾の品質として特有の粘弾性で評価される。
この粘弾性を「足」といっているが、足の強さの評価は人によって異なるが、一般にはしなやかな粘弾性がよいと評価されている。
この「足」は、魚肉のすり身に適量の食塩を加えて、擂り潰す(これを「擂潰(らいかい)」ともいう)と、粘りがでる。
この粘りを「坐り」という。
本来は、蒲鉾の適した魚の身肉だけで、評価のよい「足」が生ずるのであるが、現在のように原料となる魚の資源が少なくなると、いろいろな種類の魚を原料としている。
魚の種類が異なっても、製品間の「足」に差がないように「一種のアミノ酸転移酵素」を添加する。この物質を添加することにより、魚肉の中のたんぱく質間に架橋をつくり、全体としてたんぱく質が網目状に結合するので、よい足が生ずる。
このアミノ酸転移酵素は、ある種の微生物を処理して得た酵素なので、人の健康への害はない。
文責:成瀬宇平