食のサロン その5 《奈良東大寺の茶がゆ 「ごぼう」》
奈良へ旅行した時、Nホテルの朝食が茶がゆでした。
素朴な味に、茶がゆの事をシェフへいろいろ伺っているうちに、Nホテルでは東大寺で習ってきた茶がゆを再現しているのが判明し、ついには奈良東大寺の茶がゆのレシピを入手できました。
別名「ごぼう」の云われなどを書いてみました。

「茶がゆ」は、二月堂のお水取りに籠もる僧十一人の練行衆の夜食です。
原則、1日1回の食事を練行衆は食堂(ジキドウ)作法に従い衣と袈裟を着けて食堂に入り、定位置に着席、古くからのしきたりに従って食事を取ります。
この、食堂作法が終わると、その日の行が終わるまで、一切の飲食が出来なくなります。
1日6回の行を終えた練行衆は、午前0時から4時頃までに二月堂から下堂して、その時から翌日昼の食堂作法までが飲食解禁の時間となります。
もちろん何を食べてもよいのではありません。(生もの・お菓子なども卵入りはダメです。)
「ごぼう」は、深夜にいただける夜食の茶がゆなのです。
「ごぼう」の言われは、強火で炊くため「ごぼごぼ音がする」からとか「ご坊の食事」という伝えもあります。
「ごぼう」の特徴は、番茶仕立ての素朴さです。
昔は、奈良のお寺の日常食だったと思われます。
茶色のおかゆで少し味気ない感じですが、普通の白がゆとは違った独特の風味があって、食べ慣れると味わい深いものだそうです。
炊き上がった段階で、鍋の中の米粒を半分ほどすくい上げます。
これを「げちゃ」といい、かゆを重湯とご飯に分離します。
食べる時は、この「げちゃ」に「ごぼう」をかけます。
「ごぼう」だけだと重湯状態になり、「げちゃ」が多いとご飯に近づきます。
年配の僧は消化のよい「ごぼう」を食べ、若い層はそれでは物足りないので、腹持ちのよい「げちゃ」を多くして食べます。
就寝前の夜食ですから、体調に合わせて「ごぼう」と「げちゃ」の割合を調整しながら食べます。
副食は漬物や野菜の煮物などの精進料理です。
作法を伴う食堂の堅苦しさは無く就寝前のリラックスした時間には欠かせないものです。
「ごぼう」は、飽食の時代の食の対極にある質素な伝統的食物で、調理方法は口伝と体験で覚えるそうで、決まったレシピはありませんが、二月堂参籠宿所の作り方を大まかに記します。
絶対レシピがない以上御茶を出す方法を工夫したり鍋も手元の物を利用し、是非「○○家の茶がゆ」に挑戦してみてください。

《材料》5人分
・米  300g(約2合)
・水  5リットル
・番茶 1つかみ半(安価の物が良く、番茶がなければほうじ茶でもよい)
・塩  少々
・副食 漬物・梅干・昆布の佃煮

《炊き方》
1.米を3~4時間前に洗って用意する
2.番茶を茶袋(木綿の袋)にいれ、適量の水で鍋で炊いて茶を出す。
 時間をかけたほうがまろやかになる。(10時間位炉にかけておく)
3.出したお茶に米を入れ、強火で一気に炊き上げる。(どろどろになるまでは炊かない)
4.炊き上がる頃合を見て、米粒の半分程をすくい上げて「げちゃ」する。
 すくった米は、良く湯を切り、御ひつに入れて蒸らす。(冷や飯があれば「げちゃ」はいらない)
5.すくい上げた「げちゃ」はおひつごと毛布などで包み蒸らす。
6.「げちゃ」をすくった後の「ごぼう」に、塩を少量入れ味をつける。
7.茶碗で「ごぼう」だけでもよいし、「げちゃ」に「ごぼう」をかけても割合は好みで加減する。
 ただし、炊き上がったらなるべく早く食べるのがよい。

            参照:東大寺図書館 野村輝男氏 のレシピ指導より


文責:小堺ひとみ
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by kosakai_blog | 2010-06-30 15:45 | 食のサロン
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