食のサロン その9 《江戸前鮨の話 ②》 
流通の発達により各地の食材が手に入るようになり、江戸前鮨のネタの種類も豊富になってきた。
又食の多様性で日本人の嗜好も変わって来ている。
「目には青葉山ホトトギス初鰹」の句にあるように鰹は江戸っ子の好物であった。
とりわけ初鰹は高値で取引され、江戸っ子はいち早く食べなければとこぞって見栄を張った。
今の東京人には刺身や鮨種と言えばまずは鮪であり、とりわけトロを食べる事は庶民の憧れである。
ところが江戸の昔、鮪は下魚とされ特に脂の乗った腹の部分は殆ど食されなかったらしい。
鮨ネタとしてトロが登場するのはずっと後の話で、昭和初期初めて握って客に出したのは「日本橋吉野鮨」と言われている。
吉野鮨の主人がアブと呼ばれていた脂身の部分ももったいないと考え、客に試した処意外に酢飯との相性がよく好評であった。
食べた客の一人が口の中でとろっとするのでトロと呼んではと言う事で、トロと呼ぶようになったと言う話である。
今では部分によって大トロ、中トロ、表面をあぶってあぶりトロ、カマや頭の部分をカマトロ等呼び方も細かく区別されるようになった。
中には同じ大トロでも霜降りや鹿の子等区別して、客に食べ比べてもらうように提供する高級店もある。
日本橋吉野鮨本店は、日本橋高島屋裏で今も江戸前鮨店として繁盛している。
その箸袋には「江戸で生まれて東京で育ち今じゃ日本を握る鮨」という粋な文句かかれている。
食材としてのイクラやウニは握りにくく握ったところで又食べにくい。
クラッシックな鮨店では握って出す店もあるが、一般的には軍艦巻きと言って酢飯を海苔で囲むようにしてその上にイクラなどを乗せこぼさずに食べられるよう工夫をしている。
この食べ方を考案したのは、かの北大路廬山人に握り鮨名人と言われた「銀座久兵衛」の初代主人であったと言われている。
この方法にてなんでも握る(乗せる)事が出来るようになり鮨種の種類は飛躍的に多くなった。
巻物もすだれで巻くばかりでなく手巻き鮨なる巻物も現れ、こちらも発祥の店と言うと「築地玉壽司」が昭和46年に始めたとされ、同店が元祖末廣手巻きと名乗っている。
すだれで巻いてはつぶれてしまい巻きにくいウニやイクラ等を、さっと炙った海苔に乗せて包むような要領で海苔巻きにして職人の手から客の手に直接渡す。
炙り立ての海苔の風味とパリッとした食感が楽しめる。
受け取った客はそのまま口に運ぶと言う面白さも受けたようである。
ちなみに鮪を拍子木のように切り巻き鮨にした鉄火巻きは、昔博打場(鉄火場)で簡単につまんで食べられるように考えられた事から鉄火巻きと言われるようになったと言う説がある。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2011-01-26 15:53 | 食のサロン
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