食のサロン その21 《江戸前蕎麦の話 ①》
日本のそばのルーツはDNA分析から中国の雲南省からヒマラヤあたりであろうと推測されている。
高知県で9000年前の遺跡からそばの花粉が見つかり当時からそばの栽培が行われていた可能性が論議されている。
奈良時代前期に天正天皇により雨が少なく稲の収穫が見込めない年にそばの栽培が推奨されたと言う記述がある。
しかし、そばの歴史の中で麺としての蕎麦が誕生するのはずっと後の事である。
麺としての蕎麦いわゆる蕎麦切りは16世紀の頃に誕生し江戸期に入り製法が打ち立てられたと考えられている。
それではその蕎麦切りはどこで最初に作られたのかと言う事になる。
芭蕉門下の俳人許六が宝永3年(1706)に編纂した風俗文選の中で蕎麦切りとは信濃の国本山宿より出て国々にもてはやされるようになったと言う説を紹介している。
現在塩尻市本山は蕎麦切り発祥の地として蕎麦で町おこしを行っている。
甲州天目山栖雲寺には蕎麦切り発祥の地と言う大きな石碑が建っている。
尾張藩の国学者天野信景が蕎麦切りは甲州天目山栖雲寺の参詣の人々に米麦が少ない地方の為ソバをこねて提供したのが始まりと書き残している事による。
当然こちらも蕎麦切り発祥の地を名乗っている。
江戸を発祥と言う説も色々とあり定かな事は分からない。
各地で自然発生的に作られて来た。
うどんを手本に作られたのではないか等の仮説も多々ある。
どちらにしても以後広く普及したと言う事は蕎麦切りがとても美味しい食べ物だった事に間違いない。
蕎麦が江戸で人気を呼び、扱う屋台や店が瞬く間に増えて行く。
武家、町人を問わず江戸の人々に支持された事が窺い知れる。
蕎麦切りには蕎麦つゆが無ければ始まらない。
当時蕎麦つゆに必要な醤油や味醂も水運を使い野田や銚子、流山等から江戸に集まって来ていた。
それらも江戸で蕎麦文化が花開いた条件として関係がある物と思われる。
幕末の頃には江戸の蕎麦店は3700件を数えたと言われている。
各蕎麦店による創意工夫により考案された蕎麦もある。
蒲鉾や椎茸等でおかめの面をかたどった「おかめ蕎麦」は下谷七軒町の太田庵の創案。
「鴨南蛮」は馬喰町の笹屋治兵衛の創案とされる。
創業150年となる浅草橋の江戸蕎麦手打ち処「あさだ」の鴨セイロ、鴨南蛮は評判が良い。
明治期に大阪で考案されたとされる「カレー南蛮」もファンが多いメニューである。
明治35年創業日本橋「やぶ久」。
評判のカレー南蛮には辛さが普通と辛口の2種類ある。
それぞれ冷たい蕎麦のつけセイロがあり肉も鶏と豚が選べる凝りようである。
明治17年創業の名店神田「まつや」のカレー南蛮は作家池波正太郎もそれがまた、うまいと評している。
新橋「能登冶」は安政年間に能登屋として創業し明治になり明治の冶を取り能登冶として屋号を改名し現在6代目が営業。
明治5年開店時の店の大家が浅野家出入りの大工であったので浅野屋を名乗ったと言う「神田浅野屋」。
東京の蕎麦店には歴史と共にいわれも色々ある物である。
                                                     文責:青木知廣 
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by kosakai_blog | 2012-02-14 11:47 | 食のサロン
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