食のサロン その24 《江戸前蕎麦の話 ④》
ゆでた蕎麦を冷水で冷やしザルに盛って提供する。
いわゆる「ザル蕎麦」は蕎麦店によってセイロ(蒸籠)蕎麦ともいわれる。
頃合いに茹で上がった蕎麦を冷水でさっとしめてセイロに盛る。
出来立ての蕎麦を手繰ってだしの効いたつゆに付けてするっとすする。
蕎麦の醍醐味である。
蕎麦についた余分な水分を切る為にセイロに盛られるのであるが蕎麦の歴史と関係があるらしい。
江戸で蕎麦切りが作られるようになった当初は、蕎麦はゆで上げるのではなくセイロに盛って蒸されて提供されていたと言うのである。
その習慣から蕎麦はセイロに盛られて提供されると言われている。
別の話では江戸のとある蕎麦屋がゆでて冷やした蕎麦を素早く水切りが出来て見栄えも良いのでセイロに盛って提供しだしたと言う説もありこちらは今と同じ考え方である。
ゆでた蕎麦を水で冷やしザルやセイロに乗せるのが当たり前と思っていたのは東京人であったと知らされた事がある。
昭和の中頃までは良くあった話として上野界隈の蕎麦店で聞いた話である。
東北方面から上京した人が上野駅で降り蕎麦店に入る。
蕎麦と共に出された蕎麦つゆの入った徳利を持って蕎麦の盛られたザルの上からザットかけてしまうような事がしばしばあったらしい。
この話は複数の蕎麦店で聞いた事があり、実際にその現場を見たと言う人もいる。
テーブルに着いた清楚なお嬢さんがモリ蕎麦の上からつゆをかけてしまった。
店の人が「またやった」と言って布巾を持ってつゆのこぼれたテーブルを拭き、新しいつゆを持ってきてあげて食べ方を教えてあげていたと言う。
確かに全国に目をやると蕎麦を盛る容器には色々とあるようである。
山形県では長方形の木のお盆の様な物に蕎麦を盛る板蕎麦。
新潟県では同じような長方形のヘギと呼ばれる容器に一口サイズにまとめた蕎麦を並べて盛るヘギ蕎麦。
島根県出雲地方では蕎麦を入れて重ねる事が出来る割子と言う塗の容器に盛る割子蕎麦。
兵庫県の出石では蕎麦を入れた小皿を並べて食べる。
どれも名物の美味しい蕎麦である。
一昔前までは東京の蕎麦店ではメニューにザル蕎麦ともり蕎麦があるのがふつうであった。
ところで「モリ蕎麦」と「ザル蕎麦」の違いは何であろう。
殆どの蕎麦店では「モリ蕎麦」に海苔を散らして載せると「ザル蕎麦」となり値段もその分高くなると言うのが一般的である。
こだわりのある蕎麦店ではつゆの違いで区別をしている店もある。
砂糖が高価であった当時には砂糖を使ってコクを出しダシも吟味したつゆを用いるのが「ザル蕎麦」とし「モリ蕎麦」と区別をしたと言う話である。
蕎麦店のなかには風味のある黒みがかった蕎麦(麺)をモリ、粒子の細かい更科粉で打った蕎麦(麺)をザルと分けて出す店もある。いずれにしてもモリよりもザルの方が少しばかり高級と言う考え方は共通のようである。

                                                     文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2012-04-26 16:26 | 食のサロン
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