食のサロン その27 《江戸前蕎麦の話 ⑦ 》
信州信濃の新蕎麦よりもと都々逸にも歌われたように信州は江戸の昔より良い蕎麦の収穫される土地として知られていた。
黒姫や戸隠の霧下そばは寒暖の差により国産そばの中でも特に品質が良いと言われている。
保科家の江戸屋敷に出入りしていた信州更級の反物商、布屋太兵衛は蕎麦打ち上手として知られていた。保科家の勧めもあり信濃布の商いから蕎麦屋に転じ保科家江戸屋敷に程近い麻布永坂町に店を構えた。
看板は「信州更科蕎麦処 布屋太兵衛」と掲げた。
更科は信州そばの集散地でもあった更級の「級」の音に保科家から許された「科」の字を当てたものと言われている。
創業は寛政元年(1789)と伝えられている。
現在一般的に色の白い細打ちの蕎麦を更科蕎麦と言いこの店が発祥とされている。
場所柄大名家や寺社に出入りをするようになり更科蕎麦は御膳蕎麦とも言われた。
玄蕎麦の殻(果皮)を取り除き丸抜きにして石臼でゆっくり挽いて行くと粒が割れて最初に中心部の柔らかい部分が粉となる。
きめの細かい色の白いそば粉は一番粉と呼ばれこれを更科粉と呼ぶ場合もある。
石臼のすき間を少し開けて割抜きと言う方法で粒が二つ三つに割れた上割れと言う状態で割り抜いた物を製粉したそば粉を本来は更科粉と言うらしい。
使われる粉の特徴によって色の白い細くて長い蕎麦を打つ事が出来る。
永坂更科布屋太兵衛のトレードマークとなっている細く長い蕎麦を箸で高く持ち上げて食べようとしている町人の絵は更科蕎麦の特徴をよく表している。
麻布十番大通り沿いには2件の更科蕎麦が店を構えている。
総本家永坂更科布屋太兵衛と総本家更科堀井である。
どちらも創業寛政元年創業で総本家を名乗っている。
永坂更科は代々布屋太兵衛を名乗って来たが明治になり苗字を堀井と名乗った。
戦後堀井家は一度店を閉め、会社組織となった永坂更科は更科の伝統を引き継ぎながら規模を大きくした。
登録商標を持つ永坂更科布屋太兵衛は多くの支店を持ち更科蕎麦の普及に貢献している。
堀井家直系の更科堀井は更科蕎麦の伝統を守り繁盛している。
少々複雑な事情はあるがどちらも更科蕎麦の名店である。
更科蕎麦を初めて食べた人の中には自身の持つ蕎麦のイメージからか首をかしげる人もいる。
そう言う人を連れて更科堀井を訪ねた時は更科蕎麦と太打ち蕎麦の両方を食べ比べる事を薦めている。
そうするとまず甘つゆと辛つゆが運ばれてくる。
つゆの違いを口にして待っている内に色の白い更科蕎麦が運ばれてくる。
次に色の黒い太打ち蕎麦を食べる。
殆どの人がその食感の違いと共にどちらにどのつゆが合うかが分かると言う。
そして更科蕎麦の味わいに納得の笑顔を見せてくれる。
色の白い更科蕎麦は蕎麦生地に柚子等を練り込んだ変わり蕎麦を楽しむこともできる。
寛政3年(1792)創業の芝大門更科布屋には月替わりで楽しめる12種の変わり蕎麦がある。
収穫時期の異なる国内産のそば粉を使う生粉打ち蕎麦と変わり蕎麦にて季節も味わえる名店である。    

文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2012-07-19 15:59 | 食のサロン
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