食のサロン その32 《江戸前蕎麦の話 ⑫》 最終回
変わり蕎麦とは簡単に言えば蕎麦切りの中につなぎの目的ではなく香りや味、見た目の色を楽しむ為の物を練りこんだ蕎麦である。
創業天明2年(1782)創業、小堀屋本店には黒切り蕎麦と言い昆布を加工して練り込んだオリジナルの真っ黒な蕎麦がある。
店舗は水郷佐原の小野川沿いにあり県の有形文化財に指定されている。
大阪曽根崎お初天神近くの瓢亭では、夕霧蕎麦と言う柚子を練り込んだ蕎麦がある。
生卵を入れた蕎麦つゆで柚子の風味を味わう名物蕎麦である。
名前の由来は、近松門左衛門の人形浄瑠璃曽根崎心中の夕霧太夫からと聞く。
鹿児島県知覧武家屋敷の近くにある吹上庵は、地元産の良質な知覧茶を使用した茶蕎麦が評判で抹茶の色と風味が楽しめる。
慶応2年創業静岡の安田屋本店にも茶所静岡の抹茶を練り込んだ茶っきり蕎麦がある。
安田屋は毎週新しい変わり蕎麦を提供する企画を行い50種以上の変わり蕎麦を捜索したと聞く。
浅草の蕎麦上人と言う店では5色蕎麦と言って五つに区切られた盆に盛られた変わり蕎麦を含めた5種類の蕎麦が食べられる。
この店は蕎麦教室も開いており、そこで学んだ生徒が開業した蕎麦店は多い。
更科系の蕎麦は店では季節の変わり蕎麦を提供する店が多い。
桜エビ、春菊、ふきのとう、桜、木の芽、葉わさび、よもぎ、笹、しそ、菊、くちなし、青柚子。
最近ではトマトやカボチャ等の蕎麦切りもあるようだ。
近頃は「そばそうめん」と言って見た目は素麺でそば粉を使用した乾麺があり、素麺の食感に蕎麦の味わいがあり中元ギフト等に人気がある。
これも蕎麦の進化形であろうか面白い試みである。
蕎麦屋で粋に酒を飲むのも江戸っ子の楽しみであった。
板ワサは蒲鉾にワサビ漬をそえて食べる蕎麦店のつまみの代表である。
蕎麦のだしを使っただし巻卵や海苔をあぶりながらつまみにする店もある。
蕎麦寿司を提供する店もありそんな店ではそれが酒の肴になる。
蕎麦を食べる前に飲む酒は蕎麦前とも呼ばれるがこれを台抜きで楽しむのも通とされる。
台抜きとは蕎麦抜きの事で、天蕎麦台抜きと言えば天麩羅蕎麦の蕎麦が無い物が提供され、鴨南台抜きは鴨南蛮の蕎麦抜きである。
そば団子やそば汁粉等の甘味を出す店もあり案外フアンも多い。
夏の納涼床で知られる鴨川沿い先斗町歌舞練場並び有喜屋は京都の蕎麦の名店である。
3代目三嶋吉晴は平成23年に麺技能士として初めて現代の名工に選ばれた。
20歳の時から正当な江戸の蕎麦打ち技術を学ぶべく上野藪蕎麦にて修業し、日本麺業団体連合会会長も務める店主鵜飼良平の弟子にあたる。
東京に花開いた蕎麦文化は江戸、明治の昔から蕎麦にうるさい江戸っ子とそれに応えるべく創意工夫を重ねた蕎麦職人によって育まれた。
伝統を重んじながら新しい試みも行われている。
収穫されたそば粉をマイナス60度の超低温冷凍庫で保管すると、一年中新蕎麦の味と香りが楽しめる。
何処にそんな冷凍庫があるのか、実は冷凍マグロを保管する冷凍庫が利用される。
観賞用か高嶺ルビーなる赤い花を咲かす蕎麦も導入され、ハイルチンなるルチンを多く含む蕎麦も収穫されるようになった。
春そば夏そば秋そばと言うように、収穫期の異なる蕎麦も楽しむことも出来る。
今後蕎麦の未来は如何な物となるのだろう。

                                                         文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2012-12-14 16:31 | 食のサロン
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