食のサロン その40 《江戸前天麩羅の話 ⑧かき揚は天麩羅の真打?》
天麩羅と言えばエビやアナゴ、キス、メゴチ等、人それぞれ好きな食材があると思われる。
なんと言ってもかき揚が好物と言う天麩羅好きも多い。
殆どの天麩羅店がコースを頼むとまずエビを揚げて最初に客に提供する。
旬の魚や季節の野菜をひと通り揚げ終わると最後はかき揚が登場しコースを締めくくる。
かき揚と赤だし味噌汁にご飯とお新香でコース終了となる。
店によってはかき揚を天丼や天茶づけとして提供する事もある。
いずれにしてもかき揚を天麩羅コースのおおとりと位置付けている事となる。
かき揚は店ごとに違った味わいが最も表現される天麩羅ではないだろうか。
小エビと小柱(コバシラ)だけでかき揚を作る店もあればそれに三つ葉を加える店もある。
季節によってはそれにシラウオ等を加える事もある。
イカを使ってリーズナブルな価格で提供する店もある。
輪切りにしたネギや春菊等を使って彩や風味を加え、玉ネギを使えば甘みが増してそれはそれで美味しい。産地の静岡ではサクラエビのかき揚も定番である。
かき揚そのものを名物とする店も少なく無い。
浅草の「中清(なかせい)」は幕末の頃の屋台から始まり明治3年に店舗を構えた老舗である。
東都のれん会唯一の天麩羅店としても知られ江戸前を貫いているので野菜類の天麩羅は出さない。
浅草の雷門の雷神様が持つ太鼓に似ている事から雷神揚げと命名された大きなかき揚が看板商品である。同じ浅草の「葵丸進(あおいまるしん)」は天麩羅の大型店であり、こちらは大判のかき揚を金竜山浅草寺にちなみ金竜揚げとしている。
赤坂にある「天茂(てんしげ)」は昼に訪れる客の殆どがこの店のかき揚丼を目当てにしている。
いつも賑わう店内で天麩羅を揚げている高畑粧由里は天麩羅店では珍しい女性の揚げ手である。
倒れた父の後をついで2代目天麩羅職人となったが、前職は教師だったと言う変わり種である。
かき揚に欠かせない小柱(コバシラ)は青柳の貝柱の事である。
青柳はバカガイと呼ばれるが呼名の由来には、昔は東京湾でバカのようにとれたから等諸説がある。
現在江戸前の小柱と呼ばれるのは千葉県富津あたりで漁獲されている。
北海道あたりで漁獲された物は大振りの貝柱でかき揚にして食べごたえのある物もある。
北方系と南方系で大きさの違いがあるようであるがいずれにしても歯ごたえのある食感が好まれる。
最近は天ばらと言って、塩味のかき揚を茶碗に乗せて白飯に混ぜる様にして食べるのも流行っている。
天麩羅コースの最後の食事として、この天ばらを出す店も増えている。
天ばらとは元祖を名乗る「天ぷら店魚新(てんぷらうおしん)」によると揚げたてのかき揚を炊きたてのご飯をよそった丼や茶碗に乗っける。
塩を適量振ってバラバラにしてご飯と混ぜながら食べるので天ばらと称したと言う。

                                                         文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2013-08-05 15:13 | 食のサロン
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