食のサロン その43 《江戸前天麩羅の話 ⑪天麩羅店は油も売りもの?》
戦国大名の齋藤道三は一介の油売りから身を越し美濃一国の領主となったと語り継がれている。
当時から油は重要な物資として流通していた事になる。
行燈に使用して燃やす事で明かりとして利用されてもいたし食用等色々な用途があったらしい。
天麩羅に使用される油には胡麻油の他には、かやの油、椿油、等が主であったが菜種油や現在ではコーン油等のサラダ油も合わせて使用される。
江戸前の天麩羅には胡麻油が欠かせないが焙煎をして風味を強くしたものや生のまま絞った太白油等が特徴を持って使用される。
搾る前に高温で時間を掛けて煎れば煎るほど油の色は濃くなり香ばしい香りも強くなる。
定温焙煎ゴマ油は低い温度で焙煎するので透明感のある琥珀色とナッツのような甘く香ばしい香りが特徴となる。
太白ゴマ油は生のままゴマを搾り精製した物で無色である。
癖が無く旨味のあるすっきりとした味わいで天麩羅の素材を生かすと言われている。
常に新しい油を使用する為にこまめに油を取り換える店もあれば少し天麩羅を揚げなじませた油に新しい油を混ぜて使用する店もある。
搾り方も臼挽き、玉締め搾り等と工夫されそれによって味わいも変わる。
玉締めは小さな圧力で時間を掛けて搾り自然に沈殿した物を和紙でろ過して作られる。
無理な圧力を掛けずに手間暇をかけ優しく絞るので油の風味を損なわないと言われている。
元々ゴマ油は酸化安定性に優れた油でゴマリグナンと言う抗酸化物質を含む。
ゴマリグナンの成分は一般にも知られるようになったセサミンやセサモリン、セサミノールでありビタミンE、カテキン、ポリフェノール同様に抗酸化作用があると言われている。
ゴマ油自体はリノール酸とオレイン酸が主成分であるがこちらも色々な効能が注目されている。
天麩羅は油料理ではあるが良い油で揚げられた物は少々食べ過ぎても胃もたれせず胸やけもしないゆえんである。
天麩羅店によっては塩で食べる事を薦める事があるがこれは油の質や素材の良さを楽しんでもらいたいと言う処であろう。
最近は天麩羅に付けて食べる塩も抹茶と混ぜて抹茶塩、カレー粉と混ぜてカレー塩、紫蘇の粉末や花山椒の粉末を混ぜて提供する店もある。
最近はコシアブラやフキノトウ等の山菜の天麩羅にオリーブ油が使われるケースもあり軽くあっさりと食される。
天麩羅はトンカツやメンチカツのようなフライとは違い動物性の油を使ってあげる事は無く食材自体も脂っこい物は使用しない。
魚貝類や野菜を多く使う天麩羅はフライ物と比べてヘルシーな揚げ物と言える。
また魚を食べるのが苦手でも骨を除いて食べやすく調理した天麩羅なら食べられると言う人も少なく無い。
魚の余分な水分が油分と置換され魚の生臭さも無くなってしまう。
天麩羅を蒸し料理とたとえる人もいるが油で揚げる事により外を衣でコーティングして中の具材を蒸すようにふっくらとジューシーに調理して行くからである。
いずれも油を熟知した職人ならではの技と言える。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2013-10-22 17:57 | 食のサロン
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