食のサロン その46 《江戸前鰻の話② 鰻料理は蒲焼につきる?》
新種のウナギと思われる未知の古代ウナギが発見されたとのニュースがあった。
発見者はパラオ在住の日本人海洋生物研究家の坂上治朗で発見場所は西大西洋パラオ諸島の水深10数メートルの海底洞窟との事である。
9匹捕獲されたが成魚は黒褐色で全長20センチ一般的なウナギ類より脊椎骨の数が少なくずんぐりした体で、独立した尾ひれがあり特異な形態を持つ。
現存する約7千万年前のウナギ類最古の化石より原始的な特徴を持ち恐竜時代の姿をとどめているのではないかとされている。
ウナギは人類誕生の遥か以前から地球上に存在していた事になるが鰻好きの日本人は何時ごろから鰻を食していたのであろうか。
鰻が書物に登場した古い文献では和歌に詠まれた記録がある。
万葉集で知られる奈良時代の歌人大伴家持が吉田石麻呂に夏痩せに良い鰻を捕って食べてはどうかと言う意味の歌を詠んでいる。
痩せぎすであった石麻呂を家持がからかっての歌とも言われているが当時から既に鰻は滋養がある食べ物とされていた事が窺い知れる。
しかしその頃鰻はどのように調理されて食べられていたのかは分かっていない。
現在定番となっている蒲焼は江戸時代中期に関西の調理方をまねて江戸の職人が完成させたと言う説が一般的に言われている。
それ以前は鰻を筒状にぶつ切りにして切り口に串を刺して焼いていた物と思われる。
その時の姿が水辺にある蒲の穂に似ていたので蒲焼きとなったと言う説が蒲焼の語源であると諸説の中で定説となっている。
日本において色々な食材がある中で鰻ほど調理法が確立され定番となっている食材も珍しいのではないだろうか。
鰻を食べに行こうと誘われた人は間違いなく蒲焼かそれをご飯に乗せた鰻重、鰻丼をイメージするはずである。
誘った人ももちろんそれをイメージして、となるが他の食材ではそうはいかない。
たとえば牛肉を食べに行こうと言われたらある人は、すき焼き、又ある人はステーキ、焼肉やしゃぶしゃぶ、ローストビーフやビーフシチューを思い浮かべる人もいるかもしれない。
誘った人は実はハンバーグだったと言う落ちもあるかもしれない。
三重県の志摩に「川八」と言う色々な鰻料理を提供していた旅館があったがやはり最後は蒲焼に限ると言う結論になるらしい。
さて現在の鰻好きは鰻屋でどのような楽しみ方をするのであろうか。
まずは肝焼きにビールで喉を潤しながらウザク(鰻の酢の物)、う巻(蒲焼を芯に巻いた卵焼)の順に箸を運ぶ。次にお銚子と共に運ばれてきた白焼きにワサビを効かせて締めは好みで蒲焼とご飯か鰻重のどちらかを肝吸いと共に。
沿えられる香の物はもちろん奈良漬でなければならない。
これが鰻好きの思い描く鰻店での定番の食事と言う事になろうか。
東京下町には鰻より庶民の懐にいくらか優しいドジョウ専門店がある。
台東区浅草のドジョウ料理店「飯田屋」では私もそうする事が多いがドジョウ鍋を食べて締めには鰻重と言う客も結構ある。
江東区高橋の老舗ドジョウ料理店「いせき」ではドジョウの抜き鍋にすき焼きのように生卵を付けて食し締めに鰻の白焼き丼と言うのが私の定番である。
ちなみに抜き鍋とは鰻の蒲焼のように頭を落し開いて骨、内臓など除いたドジョウを用いる鍋である。
どちらの店も並みの鰻店ではかなわない鰻を提供していて鰻は専門店でと言う概念が時には崩される事もあり面白い。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2014-01-31 19:01 | 食のサロン
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