食のサロン その63 《江戸・東京 食事情 ⑦ かつ》2015.7

江戸時代から伝わるわけではないが明治以降東京人に指示され続けている食品にトンカツがある。
トンカツは日本人が工夫して作られたとされその意味では和製洋食と言うジャンルになるのだろうか。
豚肉にパン粉を付けてフライするコートレットにヒントを得て天麩羅のように油の中で泳がせるように揚げたのがトンカツの始まりと言われている。
「喜劇とんかつ一代」と言う映画の中で森繁久弥演じる主人公がトンカツの始まりはポンチ軒と話すシーンがある。
このトンカツ発祥の店が東京上野にあったポンチ軒と言うのが広く伝わる話であり、そのせいか上野にはトンカツの美味しい店がそろっている。
その中でも、本家「ぽん多」「双葉」「蓬莱屋」が特に有名でトンカツ御三家と呼ばれている。
これに井泉本店を加えて四天王と言う人もいるらしい。
本家「ぽん多」はロース肉の脂身を取り除いた後肉をたたいて柔らかくして揚げる。
「双葉」は厚切りのロースカツで食べ応えがある。
「蓬莱屋」はヒレカツの元祖とも言われ大きなヒレカツが名物である。
小津安二郎の名作映画「さんまの味」に登場するトンカツ店はこの店と私は思っている。
井泉本店はカツサンドを最初に作った店と言われている。
かつてコロッケが庶民のおかずの定番だった頃、トンカツは憧れの食べ物であった。
子供の頃揚げたてにたっぷりのソースを掛け、山盛りのキャベツと共に食べるトンカツは最高のご馳走だったように思う。
上野の隣浅草にもトンカツの名店は多い。
元祖焼きカツの桃太郎。
東京で最も古くヒレカツを作ったと言われる「きた八」。
肉と肉の間に色々な物を剪んで揚げる変わりカツの「カツ吉」。
多くのフアンを持つ「ユタカや杉田」。
今は閉店してしまったが映画「男はつらいよ」のロケにも使われたナタ切りトンカツの店も懐かしい。
その他都内の有名店は、目黒の「とん喜」、新宿の「王ろじ」、名を上げればきりが無い程である。
最近は薄くスライスした豚肉を重ねて、パン粉を付け揚げる店もある。
「鹿児島産黒豚」、「東京
X」や「三元豚」等銘柄豚を使ってのトンカツも評判が良いようである。
トンカツ専門店ではないが銀座にある「レンガ亭」は、ポークカツレツの元祖として知られる洋食店である。
銀座と言う土地柄ハイカラな洋食店として知られている同店だが、実は
3階には座敷があり、そこで座ってカツレツを食べる常連客も多い。
カツを使ったドンブリ物としてカツ丼も日本人に愛される国民食である。
早稲田にある「三朝庵」と言う蕎麦店がキャンセル等で冷めてしまったカツを、蕎麦汁で煮て温め卵を溶いて丼にして出したところ評判を呼んだのが始まりとされる。
そんな経緯がある為かカツ丼はトンカツ専門店のメニューでもあり、蕎麦屋のメニューの定番でもある面白い食べ物と言える。
カツ専門店のカツ丼としては銀座の「梅林」や新橋の「燕楽」等が美味しい店として知られている。

取調室で刑事が腹は空いてないかと、出前のカツ丼を食べさせてあげると犯人のかたくなな心が和らぎ、思わず犯行を自供してしまう。
そんな話は昔の刑事ドラマにありがちなシーンであり、今もバラエティ番組のコントなどにもよく登場する。
もちろんフイクションであり、視聴者はあり得ない話と思っていても変に納得させられてしまう。
カツ丼と言う食べ物の持つ不思議な魅力なのかもしれない。

※上野の「双葉」は廃業となっています。

                        文責:小堺化学工業㈱ 営業部長 青木知廣


[PR]
by kosakai_blog | 2015-07-11 21:26 | 食のサロン
<< 社長の呟き その6 《はし休め... 第25回 MNC勉強会 (於:... >>



コラムや社内行事の模様をお伝えします。
by kosakai_blog
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
全体
添加物歳時記
調味料のいろは
今月の酒の肴
食のサロン
お江戸日本橋伝承会
社長の呟き
室長の囁き
イベント
社会奉仕
有資格者
アスリート
コーヒーブレイク
MNC(みんなのネットワーク)
ABOの会
その他
伝習会・交流会
食のこぼれ話
知識のとびら
以前の記事
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 04月
2016年 01月
2015年 11月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2007年 11月
2007年 09月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2005年 10月
2005年 03月
2004年 02月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
Copyright (C) KOSAKAI CHEMICAL INDUSTRY. All rights reserved.