食のサロン その65 《江戸・東京 食事情 ⑨ とり 》2015.9

池波正太郎の時代小説鬼平犯科帳には当時の江戸の食べ物が紹介されているがその中で物語中の重要な舞台として五鉄と言う軍鶏鍋屋がある。
TVシリーズの鬼平犯科帳では中村吉右衛門演じる主人公の長谷川平蔵がその密偵たちと軍鶏鍋を囲んでのシーンが度々登場する。
当時から鶏肉はご馳走として食べられていたらしく事実江戸期より創業の鳥鍋屋も都内には残っている。
この五鉄のモデルと言われている店が都内に2件あるらしい。
作者に贔屓にされていたと言う事からも参考にされたであろう事と想像される。
一件は両国橋近くにある「坊主軍鶏(ぼうずしゃも)」で主人が仲裁に入り喧嘩を納めるために頭を坊主にしたと言う事から「坊主軍鶏」が店名に成ったと言われている。
もう一軒も墨田区にある「かどや」でこちらは水炊きや味噌鍋等で鶏肉を味わえる。
昭和40年代ごろまでは東京下町には各町内に鶏肉専門店がありご馳走としての水炊きや安上がりで栄養のある鶏モツの煮込み等良く家庭の食卓でも食べられたものである。
鶏モツの中にはキンカンと呼ばれ果物のキンカンに似た卵として産み落とされる前の卵黄にあたる物が含まれていたのも思い出される。
最近は
B-1グランプリなる大会があり山梨県甲府のご当地B級グルメとして鶏モツの煮込みが1位に成ったのは記憶に新しい。
若い
B級グルメファンには斬新に感じられたようでもあるが昔は似た様なものが東京下町等でも良く食べられていたような気がする。
山に囲まれた盆地である甲府では鮮度の良い魚が手に入りにくく鶏モツ煮が食文化として残った物と思われる。
主に蕎麦店のメニューとして食べられていたと言う。
東京で有名な軍鶏鍋屋としては神田連雀町の「ぼたん」、上野池之端の「鳥栄」がありいずれも風情のある建物とそれぞれの特色ある軍鶏鍋で客を迎えてくれる。
小堺化学工業㈱本社のある人形町にも歴史のある鳥料理店として「玉ひで」がある。
こちらも軍鶏鍋店であるが昼の親子丼を目当ての客が行列を作る光景は人形町名物となっている。
ちなみに最初に親子丼を考案したのもこの店とされている。
寒い冬に目の前で煮込まれる軍鶏鍋を思い浮かべれば江戸っ子ならずとも思わずよだれが出てくると言う物である。
少し余談になるが鶏の水炊きは九州博多の名物であり発祥の店は「水月」とされる。
「水月」では水炊きのスープは濁らさないよううまみを出して透明に仕上げる。
同じく有名店の「新三浦」では肉や骨から出るコラーゲン質で白濁したスープを使う。
「水月」のように透明なスープの水炊きを「みずたき」と呼び「新三浦」のような白濁したスープを使う水炊きを「みずだき」と濁って発音すると言うのも博多ならではの事で面白い。
   
                                 文責:小堺化学工業㈱ 営業部長 青木知廣



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by kosakai_blog | 2016-01-28 19:28 | 食のサロン
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