食のサロン その68 《江戸・東京 食事情 ⑫ すきやき 》2015.12

牛肉食べぬは開けぬ奴といわれ文明開化の代名詞のようにもてはやされた食べ物がすき焼きである。
肉食文化が無かった日本人に合った食べ物としてもてはやされた。高村光太郎は「米久の晩餐」として鍋を囲み、すき焼きを食べる様子を詩に残している。
この米久は浅草に今もある老舗すき焼き店の事である。
近江の国で米屋を営んでいた竹中久次が近江から牛を引いて上京し牛鍋屋を開業したのが始まりとされている。
関西では鉄鍋で牛肉を砂糖と醤油で味付けし焼くように食すのが一般的である。
関東では牛肉を鉄鍋でネギ等の野菜と豆腐や白瀧と共に割り下を使いぐつぐつと煮込んでいわゆる牛鍋の状態で食べたようである。
今は関西、関東のこだわりはあるにしても双方の良い部分を取ってあまり東西の区別は無いように思われる。
初期のころは食べなれない牛肉をなじみのある味噌味の鍋で食べさせる店も多かったようである。
当時外国との窓口であった横浜には牛肉をぶつ切りにしてみそ味の鍋にして食べる「太田なわのれん」と言う店が今も営業している。明治のころは店名に今と言う文字を冠した牛鍋店が多くあった。
これは東京で初めての、と場が開設された今里に由来すると言う説がある。
慶応3年(
1867)に横浜の中川屋嘉兵衛と言う人が現在の芝白金のあたり今里の地にと場を開設したと言う史実がある。
今里直送の良質な肉を提供する店として今と言う字を冠したと言う話である。
後にそう言う店の中から暖簾分けされた店も今の字を使用した事であろうと想像できる。
新橋の今朝、浅草今半、人形町今半等が代表であろうか。
俳優であり歌手でもある加山雄三は年齢を重ねても若く元気である事にいつも感心するがそのスタミナ原は肉好きゆえであるらしい。代表作として若大将シリーズの映画があるが主人公の実家が老舗すき焼店として登場する。
頼まれたら嫌とは言えない正義感で行動的な若大将のイメージにはすき焼店の息子のイメージが合うのかもしれない。
都内には今も老舗すき焼店は多い。
明治創業の老舗としては東大生に愛された湯島の江知勝、江戸時代に犬のチンを扱う商売をしていた事を屋号にした浅草のちんや、牛佃煮が評判の日本橋の伊勢重等がある。
小堺化学工業㈱本社のある人形町では牛肉販売でも有名な日山のすき焼きが評判で水天宮参りや明治座での観劇帰りの客でにぎわっている。
坂本九の歌う上を向いて歩こうがアメリカでスキヤキソングと言われ全米ヒットチャートで1位になる大ヒットとなった事を記憶されている方も多いと思う。
アメリカで牛肉を使った日本料理としてのすき焼きのイメージが良かった事で相乗効果があったのかもしれない。
もっとも作詞を手掛けた詠六輔はアメリカでのヒットには複雑なものがあったように聞いている。
歌のヒットと共に元の歌詞を離れ英語の歌詞がいくつも作られて行く。
中には芸者ガールと共に食べたすき焼きが忘れられないと言うような事に成れば当然かもしれない。

          文責:小堺化学工業㈱ 営業部長 青木知廣


[PR]
by kosakai_blog | 2016-01-28 19:59 | 食のサロン
<< 食のこぼれ話 その81・その8... 食のサロン その67 《江戸・... >>



コラムや社内行事の模様をお伝えします。
by kosakai_blog
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カテゴリ
全体
添加物歳時記
調味料のいろは
今月の酒の肴
食のサロン
お江戸日本橋伝承会
社長の呟き
室長の囁き
イベント
社会奉仕
有資格者
アスリート
コーヒーブレイク
MNC(みんなのネットワーク)
ABOの会
その他
伝習会・交流会
食のこぼれ話
知識のとびら
以前の記事
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 04月
2016年 01月
2015年 11月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2007年 11月
2007年 09月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2005年 10月
2005年 03月
2004年 02月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
Copyright (C) KOSAKAI CHEMICAL INDUSTRY. All rights reserved.