夏の終わりが近づくと、イワシの身肉の脂の含有量も多くなり、秋が旬といわれるサンマの身肉の脂肪も多くなってくる。
イワシもサンマも鮮度のよいものは刺身、塩焼き素材の味を生かした食べ方が一般的である。
これらは、一度に大量に漁獲されるので、鮮魚で売れきれない量は冷凍冷蔵の発達している現在では、これらを低温保存しておいて、マーケットのニーズを見て出荷している。
冷凍冷蔵の技術が発達しなかった昔は、開き干し、丸干しなどの干物で保存した。
砂糖、塩で調整した調味液で味付けした乾燥品にみりん干しがある。
サンマのみりん干しは、そのまま「サンマのみりん干し」の名で、サンマの水揚げの多い福島県の常磐地方でつられ、消費地は関東や東北であった。
マイワシのみりん干しは「さくら干し」の別名があるが、その名の由来は分らない。
主な生産地は千葉県、茨城県、富山県などあり、消費地は関西や中部地方である。
サンマのみりん干しもさくら干しも、照りをだすために、昔はみりんを使っていたが、現在はグアガムが用いられる。
グアガムは、グァーの種子から得られる多糖類でショ糖、ブドウ糖、乳糖、デキストリンを含み、加熱溶解したものは粘性があり、食品の表面に塗るとテリがでる。
天然物からの抽出ぶつであるから、健康への害はない。
(文責:成瀬宇平)