秋になると、サケが産卵のために日本の北海道や東北の河川に遡上がはじまる。
サケが北海道や東北に近づくと、水産加工業者や料理人は、サケの卵巣をとりだし、イクラの塩漬けや醤油漬けをつくりはじめる。
塩分濃度の濃くない醤油づけは、塩漬けのイクラと違って長期保存ができない。
10月中旬ごろまでに、川に上る前に漁獲したサケの卵巣でつくったイクラの醤油漬けは、一粒一粒の卵の膜がうすく軟らかくで、野菜しい食感のイクラである。
10月の半ば過ぎて獲れたサケの卵の卵膜はやや硬くなり、また水産加工場で大量に作った塩漬けは、卵膜がやや硬くなっているか、乱雑に処理しているためか卵膜の破れたものもある。
イクラはすし種として人気であるが、すし種のイクラはやや粘りのある食感があり後味を嫌う人も多い。
酒の肴としてのイクラは、卵膜の軟らかいイクラの醤油漬けにワサビをのせたものがよい。
淡い醤油味でるので、冷蔵庫で半日間ほど熟成したほうが生臭みが消えて美味しくなる。
チョウザメのキャビアは、岩塩で1~2日塩漬けしたほうがよいように、魚卵の塩蔵品や醤油漬けは、熟成の期間が必要である。
(文責:成瀬宇平)