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食のサロン その15 《江戸前鮨の話 ⑧》 
鮨のネタに何処の鮨店でも必ず玉子(鶏卵)焼きが置いてある。
一人前の鮨桶に盛り込まれた場合は玉子の黄色はとても見栄えが良く全体の彩を華やかにする。
何故本来魚を使う江戸前鮨に玉子が使われるのか。
関西の押し鮨に使われていたから、高級感を出すため当時高級品であった玉子が使われた等々諸説があるが定かではない。
しかし鮨店にとって玉子焼きは職人の腕の見せ所でもあり特に江戸前を看板とする鮨店では並々ならぬこだわりを持って焼き上げられる。
客もまたその店の特長ある玉子焼きを楽しみにしている。
一通り鮨をつまんだあと最後に甘味のある玉子焼きをデザート代わりにするような要領で食べられる事が多いようである。
むら無く焦げ目を付けて焼き上げる物、焦げ目をつけず玉子本来の色を生かす物。
薄焼きや厚焼き、だし巻きもあればカステラのように甘い物もある。
握り方もそれにあわせ厚焼き玉子の真ん中に包丁を入れ馬につける鞍のように握る、くらかけ。
握った玉子焼きに海苔で帯をかけたり玉子焼き自体に切れ目を入れ中に鮨飯を詰めたりもする。
銀座寿司幸本店ではハンペンで有名な日本橋の神茂よりハンペンになる前のサメの身をペースト状にすった物を分けてもらいそれをベースに玉子焼きを作ると聞いた事がある。
以下各有名店の玉子焼きを紹介する。
実際の作り方や焼き方は企業秘密が多いので参考程度と考えて頂き機会があればご自分で確認して頂きたく思う。
新橋しまだ鮨、シバエビすり身入りだし巻。
九段下寿司政、ヒラメのすり身入り焦げ目をつけない。
八重洲おけい鮨、玉子のみで中がトロリとした食感。
四谷纏寿し、だし巻にエビオボロを乗せて出す。
すきやばし次郎、シバエビすり身に山芋入り。
神保町鶴八、コバシラのすり身入り。
銀座鮨からく、ハモのすり身と山芋入り。
谷中乃池、片面に焼き色を付けた薄焼きでエビオボロを包む。
銀座天川、シバエビとタイのすり身、ハモ、アマダイを使う事もある。
ざっと上げただけでも各店特長のある仕事が施されている事がご理解頂けると思う。
一昔前に子供に人気のあるも物の代表として「巨人、大鵬、玉子焼き」と言われた事がある。
巨人とはプロ野球の人気球団、大鵬は昭和の名横綱、玉子焼きは同じように子供を始め広く人々に指示される。
鮨には日本人の好きな魚と共にその玉子焼きがネタの一つとして使われている。
計算されての事ではないにしても鮨は万人の指示を受けるべくして好まれる食べ物かもしれない。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2011-07-15 15:01 | 食のサロン
食のサロン その14 《江戸前鮨の話 ⑦》 
鮨の語源は酢と米を表す酢めし、魚と酢の鮓等と言われている。
その始まりは塩漬けした魚に米を使い発酵させて作る保存食であったとされ、滋賀県琵琶湖周辺で食べられる鮒鮓が今に残るもっとも古い形の鮨と言われる。
もっとも江戸前握り鮨とはまったく異なる物である。
このような魚に塩をして米を使い乳酸発酵させた鮨は熟れ鮨と呼ばれる。
江戸における鮨は熟れすしから半熟れずし、押し鮨、早鮨、握り鮨と変容してきたという説がある。
江戸で鮨が普及した理由の一つに酢が安く多量に手に入るように成った事があげられる。
知多半島半田村の地において中埜又衛門が酒粕から赤酢を作る製法を開発し江戸に持ち込んだ。
現在の愛知県半田市のミツカン酢である。
両国にある「政五すし」の店先には「江戸の粋薫りただよう山吹の」句が掲げられている。
この山吹とは古く江戸前鮨に使われ今も江戸前鮨に最も適していると言われる三ッ判山吹の事である。
鮨用の酢を製造し発展した醸造酢メーカーは東京及び周辺にも多くある。
現在も赤酢のブランドとして有名鮨店で使用されている「珠玉」等の製造元横井醸造。
多くの鮨店で支持されている私市醸造が知られている。
鮨店のこだわりの合わせ酢がこれまたこだわった米とあいまって鮨飯の味を決める。
生姜の酢漬けガリも鮨には付き物で魚の生臭さを消す効果もある。
前に食べた握り鮨の味をガリで一旦消し口の中をさっぱりさせて次のネタを味わうのが通とされる。
鮨につける醤油も江戸前鮨が出現したとされる文化、文政の頃に既に江戸市中では広く利用されていて江戸前の鮨を引き立てたとされる。
醤油が普及する以前は煎酒と言われ酒に梅干を加えて煮つめた物が使われていた。
これに削り節や味噌から作る溜まり等を加えこして使う工夫もされたらしい。
江戸伝統の仕事では醤油をそのまま使うのではなく酒や味醂、出汁を加え煮きりにして握られた鮨種の上に刷毛でひと塗りする。
そうする事により食べ手は醤油に鮨を浸す事無く口に運ぶ事が出来る。
ワサビも鮨には欠かせない薬味である。
江戸前鮨では伊豆の天城産が良いとされる。
鼻にツンと来る刺激があり付けすぎると涙が出るので鮨店ではナミダと言う符丁で呼ぶ事もある。
鮨店では符丁で呼ぶ事が多くお茶を上がりと呼ぶ。
花柳界では客が来ない事をお茶を引くと言い縁起が良くないとされる。
客に最初に出すお茶を出花、最後に出す場合を上がり花と言ったがそれが略されて上がりになったと言う説がある。
酢めしをシャリと呼ぶのは白くつやのある米粒がお釈迦様の骨である仏舎利を連想させるから。
玉子焼きをギョクと呼ぶのは玉子の玉の音読み、カッパ巻きは河童の好物とされる胡瓜を海苔巻きにした物。
アワビを片思い、シャコを車庫とかけてガレージとなるといささかダジャレの感がある。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2011-07-15 14:33 | 食のサロン
第14回 MNC (於:本社会議室 3F)
◆開催日時
2011年7月9日(土) 10:00~15:00
◆場所
小堺化学工業㈱ 3F会議室
◆参加者
MNCは、小堺化学工業㈱に勤務する栄養士の友人・知人が卒後のスキルアップの目的で行っている研究会である。
MNCメンバー及び栄養士とは限らずに食品や食生活に興味をもたれている方々が参加
◆テーマ・講師・概要
2011年 「第2回勉強会」と「カレーハウスにての懇親会」

1)「日本のカレー事情」 山田 章津子氏
①現在、国内で流通しているカレー関係の開発の歴史、カレールーやレトルトカレー、特別なカレーについて製法や特徴が紹介された。
②現在アメリカで展開されているカレー関係の商品、レストランの現状が紹介された。
③日本のカレー事情(歴史、ルー、レトルト、市場)について話題提供された。
④カレーと健康に関することにも触れられた。

2)「インドの健康医学[アーユルヴェーダ]について」 西方さおり氏
西方氏は2011年1月から2ヶ月間、南インドでアーユルヴェーダの研修を受けてきたので、その結果報告であった。アーユルヴェーダでは、「食べ物は、生き物の生命を支えるものであり、顔の色艶、明快さ、寿命、創造性、幸福感、満足感、滋養、体力、地力は全て食物に依存している」という考え方で、身体の健康ばかりでなく心の健康も関与する健康法であることが紹介された。

3)「最近の大腸菌による食中毒の解説」 土谷知弓氏
最近、O157以外にO114、O104による出血性大腸炎が増えていることから、short reportとして解説された。

4)「東日本大震災が食品関連業界に及ぼした影響について」
東日本大震災は、食品関連業界に大きな被害を及ぼし、復活の兆しは見えているがまだまだ復旧までも長い時間を要すること、東京電力の福島原子力発電所のトラブルによる放射能被害が食品ばかりか関連物質の輸出にも影響があり、輸出を禁止した食品関連物質の多いことも紹介された。

※次回開催
・開催日時と場所 2011年11月19日10時から 小堺化学工業株式会社 3F会議室
・過熱調理の理論と実際・応用について
・水産練り製品の機能性について

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-07-12 18:16 | MNC(みんなのネットワーク)
2011年 第5回 お江戸日本橋伝承会 (於:本社3F会議室)
◆開催日時
2011年7月6日(水)  18:30~20:30
◆テーマ
『雄・雌・食物で違いが出る毛筆 -書筆・画筆どこがちがうの?-』
◆講 師
『創業1912年(大正元年) 日本画材専門店』 株式会社 有便堂 社長 石川雅敏氏
◆講演概要 
「有便堂」は創業1912年(大正元年)、来年で100年目を迎える書画材料の収集・保存及び販売の老舗である。
創業以来、日本画壇の巨匠たちに愛されてきた。 
昭和21年に湯島より大商業地日本橋に移転し、以来書画用品を中心に書家、画家、カルチャー教室への用具調達や額、軸、屏風、巻物仕立等を扱う老舗として地位を築いてきた。
また、店頭に於いては、季節の和風小物を数多く品揃え飾りつけすることで、往来の方々を楽しませている店舗として日本橋に根付いている。
今回の講演では、学生時代に必ず手にした「筆」をテーマとして、有便堂が保有する非常に貴重な筆の数々を拝見させていただいた。
とにかく動物のあらゆる毛が筆作りの対象となり、この日初めて手にしたのは、ムササビの雄と雌、黒兎の髭、連筆には雌の山羊の髭(顎の下の毛)、狸の毛、赤牛の耳の後ろの毛、蝦夷鹿の毛、ハクビシンや兎の口髭、いたちやコリンスキーそして鶏の羽の筆は絵筆として重宝される等・・
ジョンレノンとオノヨーコが入手した馬の毛を使った箒筆のエピソードもまた楽しい話題であった。
また、私達が漠然と手に取り、文字や絵画に滑らしている筆を、筆になる前の状態から実際に触れてみて、雄・雌さらには動物が食べていた戦前、戦後の筆の比較では、戦前の方が腰がありとても書きやすく、それも食物でこれほどまでに書き味が異なるのかという貴重な体験をした。
身近である「毛筆」を実際に手に取り初めて学ぶことができた。
書画用品店は、バブル後大変な苦悩が多く、後継者が育たず、手間をかけた商品開発も中々受け入れられず価格本意の世界になりつつあり、品物本位は後回しになる事で石川氏は嘆いていた感があった。
しかし、まだまだ拘る職人と共に経験、体験を生かし頑張っているところを、「お江戸日本橋伝承会」の講演を機会に「筆」を取り上げる事で、日本文化と共に歩んで来たその一端を伝えたいという気迫が感じられる1時間であった。
また、2011年6月25日放送の「出没!アド街ック天国」では「有便堂」が第20位にランキングされた。
2009年には、聖徳太子が使ったとされる「雀頭筆(ジャトウフデ)1」を再現した。
筆の穂には色とりどりに染色した馬の毛を使用し、雀の頭を表現している。
これは、染色をした毛を合わせて初めて雀の頭に見えるというから、職人技以外の何者でもない。
講演会では、この高価で現在国内に8本しか存在しない大変貴重な「天平蓬莱筆」を見せていただき、太古の世界に思いを馳せたひと時であった。
ひときわ目立つ有便堂の暖簾もまたおしゃれなデザインで、墨のグラデーションと中央の染色に使った貝紫色という希少価値のある染料で染めてあり、暖簾のほとんどが一色で染め屋号を目立たせる中非常に印象に残る。
石川社長は、是非お店へ足を運んでいただき、他の筆も書き比べにいらしてくださいと結ばれた。
是非、社長がいらっしゃる時に有便堂の暖簾をくぐって見ませんか?

リンク:有便堂


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by kosakai_blog | 2011-07-08 15:55 | お江戸日本橋伝承会



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