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食のサロン その20 《江戸前鮨の話 ⑫》  最終回
江戸前鮨に欠かせない食材として海苔がある。
江戸前海苔の代表としては浅草海苔や品川海苔が知られている。
原種としてのアサクサノリは野生種として日本の太平洋側各地の内湾に分布していた。
色が赤めで肉質が柔らかく独特の磯風味があるが水質汚染等に弱く育てにくい。
現在は養殖海苔の殆どがスサビノリとなっている。
スサビノリは色が黒いのが特長で病害にも強い。
アサクサノリの野生種は干潟が埋め立てられ減少し環境省のレッドリストに絶滅危惧類とされている。
浅草海苔の名の由来は江戸浅草で製造販売された為と言う説がある。
海苔を抄くのは紙の産地でもあった浅草の和紙を抄く技術が取り入れられたという話もある。
上野寛永寺の天海上人が命名し江戸名物にしたとも伝えられる。
おそらく商売上当時江戸の発展と共に名を知られた浅草をブランド名として冠し江戸名物としたのではないかと思われる。
現在は有明海産の海苔が主流となっているが、鮨店によってはきめ細かい瀬戸内産を選んで使っている店もある。
海苔巻きには海苔を1枚使用する太巻きと半分使用して巻く細巻きがある。
昨今は中巻きといわれ主にテイクアウトの鮨等で作られるものもある。
海苔になじみの無い外国では海苔の色等見栄えに抵抗があるようで、海苔を内側にして裏巻きと言う技法もある。
海苔巻きと言う言葉を使ったが、江戸前鮨では巻きすしが正しい言い方となる。
通常は鉄火巻やかっぱ巻きのような細巻きである。
昔は関西に細巻きはなく、江戸前鮨がルーツと思われる。
江戸前鮨では海苔を炙って焼き海苔の状態で巻き焼いた海苔の香りを楽しむ。
破れやすく巻きにくい焼き海苔を鮨職人がその技術で素早く巻き上げる事により歯切れの良いパリッとした食感が味わえる。
巻き鮨の芯として代表的なものにカンピョウ(干瓢)がある。
カンピョウはウリ科の夕顔の実を細く削り、平たい紐状にして乾燥させた物である。
今は全国生産の98パーセントが栃木県で作られる。
水はけの良い関東ローム層と名物の雷による夕立の雨が夕顔の栽培に適しているとされる。
鮨ネタとなる魚や貝、甲殻類には各種アミノ酸、DHA、タウリン等色々な栄養素が含まれるが如何しても繊維質やビタミンCが不足する。
カンピョウは食物繊維やカリウム等ミネラルが豊富であり、海苔にはビタミンAを始めB1,B2、E、Cも含まれる。
握りの他に巻き物としてカンピョウやカッパ巻きウメシソ巻き等を加える事により栄養学的に必要な栄養素が含まれた食べ物となる。
カンピョウ巻きを食べたり最後にウメシソ巻きで口の中をさっぱりさせるのは栄養的にも理にかなった食べ方と言える。
私の場合はカンピョウ巻きにワサビを利かせてもらい最後の注文として頂く事が多い。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2011-09-26 13:23 | 食のサロン
食のサロン その19 《江戸前鮨の話 ⑪》 
江戸前鮨は伝統を守りながらも明治以降変化を続けている。
同じ江戸前の鰻店が原材料の鰻が養殖物になった以外技法も形も、味付けも殆ど変化していない事を考えれば対照的かもしれない。
昔は食べなかったトロを好んで食べるようになり、イクラやウニも軍艦巻きや手巻き鮨にして食すようになった。
バブル全盛期にはスシバーなるものが流行りそこでの人気ネタが鮨好きを驚かせた。
アボガドを使ったカリフォルニヤロール成る物やツナマヨネーズやエビマヨネーズ、フォアグラやキャビアも鮨として登場した。
海を渡った日本の鮨が変化して逆輸入されたものである。
江戸前を売り物にする鮨店で、もしそのような物が出されたら、おそらくその店には二度と通わない事になるだろう。
しかしスシバーで出されるそれは江戸前鮨とは異なる食べ物ではあったがそれなりに食べる事は出来た。
いやフアッション性のある洒落た雰囲気の店内で間接照明の下ワインと共に頂けば実に美味しいという事になる。
あまりに変化が大きすぎて付いていけなかっただけなのかもしれない。
ネギトロと言う鮨ダネがある。
何処が始めた物か定説は無いが、鮨ダネの一つとして持ち帰り鮨を中心に定着した感がある。
下町の気取らない店でありネギトロ巻きを世に広めた店ではないかと思う鮨店がある。
池波正太郎の生まれた浅草聖天町の近く吉野町に店を構える「金太楼鮨本店」である。
修業に来た職人に暖簾分けをして独立させるべく仕事を教える。
見習い職人はいつか自分の店を持とうと一生懸命働いて仕事を覚え店も繁盛した。
ここの職人が全国鮨コンクールの各部門で上位を独占した事もある。
一本買いしたマグロの中骨に付いたいわゆる中落ちや策取りした跡の切れ端に刻みネギを加え叩いた物を海苔巻きにした。
以前は処分してしまった部分を工夫して食べるとなかなかの味であった。
刻んだ沢庵と混ぜても巻き鮨としたがこれも美味しい。
北海道札幌の名店「すし善」の名物にもなっているトロタクである。
またこの店は軍艦巻きに抹茶アイスを乗せたアイスクリームの鮨も出し女性や子供に人気をはくした。
突拍子も無い事を考える物であるが技術に裏打ちされながら伝統にとらわれない愉快な店でもある。
最近では都内の鮨店でも駿河湾特産のサクラエビの生を乗せた軍艦巻やノレソレと言ってアナゴの稚魚を軍艦巻で出す店もある。
ちなみにノレソレは高知県あたりで使われる方言らしい。
京漬物の千枚漬を握ったり、九州あたりで食される芽ネギを握った鮨もある。
フグやアラを名産とする地方ではこれらの高級魚も鮨にした。
これらは江戸で生まれた江戸前鮨が地方に根付き地方の特産品をネタにして本家に戻ってきたという事になる。
近頃は世界寿司コンテストなるものがロンドンで開催されているらしい。
世界各地域や国から自慢の鮨を一品勝負で競い合うコンテストとの話である。
宮城県の「あさひ鮨」でそのコンテストで世界一になったと言う鮨を握ってもらったことがある。
あさひ鮨は地元気仙沼の特産品フカヒレを使った鮨を名物として知られた店である。
この店の職人が国内予選を勝ち抜いてコンテストに参加し優勝したとの事であった。
その鮨は軍艦巻きに特産のフカヒレを乗せたものであったがフカヒレの上に金粉が飾ってあり食べるとなんとシリアル(コーンフレーク)が口の中で広がった。

                                                         文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2011-09-26 13:15 | 食のサロン
歳時記 その29 《うま味調味料添加と嗜好性》
代表的うま味調味料のグルタミン酸は、消化管では迷走神経休心路の活動の亢進、胃排出速度の調節などのヒトの生理的機能が解明されつつある。
動物では腸管上皮細胞の主要エネルギー源となり、加齢に伴う消化管吸収機能の低下を補うなども明らかにされている。
さらに、味覚感受性の低下した高齢者の食事にグルタミン酸ナトリウムを添加することにより、喫食量が増加し、QOL(quality of life)の改善がみられることも明らかになってきている。
巴美樹氏らは高齢者施設で生活している中高年女性の日常の食事にうま味調味料を添加した場合と添加しない場合の嗜好性について検討している。(日本栄養・食糧学会、64巻(3号)、151、(2011)、151)
巴氏らは20品目の料理についてうま味調味料添加によって嗜好性が高まるかどうかを検討し、そのうち8品目についてうま味調味料0.5%を添加することにより嗜好性の高まることを明らかにした。
うま味調味料を添加することにより食塩含量が増えていることも、嗜好性を高めている要因でないかとも推測している。
とくに、「ゴーヤチャンブル」や「ホウレン草のお浸し」のような料理は、うま味調味料を添加することにより苦味が低減し、嗜好性を高めているのではないかとも推測している。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 18:19 | 添加物歳時記
歳時記 その28 《調理器具の洗浄と殺菌剤について》
食品添加物の歴史をみると、食品の保存や外観を目的として開発されてきた添加物が多い。
食品の外観に関して開発されたものが食用色素であり、食品の保存を目的として開発されたのが保存料であり、殺菌剤である。
保存性のある加工食品が流通できるようになるには、加熱殺菌、低温流通、紫外線、包装材の開発などの物理的方法のほかに、保存料や殺菌剤などによる化学的方法も非常に貢献している。
大量に作る外食用の弁当や惣菜、菓子類では、衛生的につくるために基本的な衛生上の対策として調理器具の洗浄・殺菌などの処理工程がとられる。こうすることにより、調理器具や原材料に付着している食中毒菌や異物の除去が行われている。
現在、食品や調理器具の殺菌に使われているのは塩素系漂白剤が多い。
塩素系の臭いが残る場合もあるが安全性が高い。
その殺菌のメカニズムは過酸化水素と同じく酸化力のある酸素による殺菌作用なのである。塩素系漂白剤は、病原菌の細胞膜や酵素の分子内のN-H結合、S-H結合に作用し、細菌の代謝を狂わせて細菌の生育を抑えてしまうという働きがある。
弱酸性の水での野菜や調理器具の洗浄法が注目されているが、ある実験から推測するに洗浄の方法により効果が左右されるようである。
弱酸性水での殺菌を効果的に発揮するためには、調理器具や野菜などの食品は丁寧に洗浄しておかなければならない。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 18:17 | 添加物歳時記
歳時記 その27 《食品に使われるビタミン類》
加工食品の場合、使用される材料、副材料、加えられる食品添加物を明記しなければならない。
その際、使用目的にしたがって使用される添加物が、他の効果がある場合に、後者の目的の効果を記載することがある。
食品添加物として使用するビタミン類には、ビタミン類のもつ機能性すなわちビタミン強化も期待されているが表記してはならない。
①トコフェロール類;α―トコフェロール類は、食品中の脂肪の酸化を防止する「酸化防止剤」として使用される。
食品中の酸素が不飽和脂肪酸を酸化して過酸化脂質を生成する前に結合し、α―トコフェロールは脂肪酸の酸化を防止する働きがある。
私たちの体内の一つひとつの細胞を形づくっている細胞膜、細胞内の中のミトコンドリアなどの微小器官を包む膜などをまとめて「生体膜」という。
この生体膜の構成成分も不飽和脂質なのである。
トコフェロールは、食品中の脂質の酸化を防止する働きがあるが、生体内での過酸化脂質の生成を抑えるビタミンEの働きがあるので、食品添加物に使用されたα―トコフェロールのビタミンEの働きを期待されやすいが、体内でのビタミンEは、緑黄野菜や豆類、穀類に含まれているビタミンEが、体内では効果があるのである。
②ビタミンC;果実ジュース、スポーツドリンク、ジャム、キャンディにはビタミンCが添加されていることが多い。目的は、果物や野菜の褐変や退色を防止のために使用される。
肉の加工品には発色助剤、水産加工品では、脂質の変質防止などのために使われている。
ビタミンCは、かつてはカゼの予防にビタミンCの大量摂取により効果があるといわれたことがあるが、胃腸を害することが分かり利用者がいなくなった。
ビタミンCの成分は、アスコルビン酸で、体内のコラーゲンの合成に不可欠であることから、美肌形成に効果があるといわれているが、自然の野菜や果物に存在しているビタミンCなら期待されるが、食品添加物として利用したものには効果は期待できない。
食品添加物としてのビタミン類の効果の例を述べたが、健康のためには食品添加物ではなく、自然の食品に含まれているビタミン類に期待すべきである。最近、サプリメントに使われるものの中には、使用の仕方に間違いがあると、病状を悪化してしまうということもあるので、サプリメントの利用も専門家に相談してから使用すべきである。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 18:12 | 添加物歳時記
酒の肴 その32 《イカの黒作りは本場に限る》
富山の名産の「イカの黒作り」は、材料にスルメイカを使用したものやホタルイカを使用したものがある。
関東で食べる「イカの黒作り」は、スルメイカの細切りを使用したもので、瓶詰めのものが多い。
瓶詰めというのは、保存を目的で作ってあるためか、塩味がやや強く感じる。
6月の中頃、富山市内のホテルで行われたパーティーに供された「イカの黒作り」は、関東で食べるものより、細い身で甘味もありコクもあった。
食べようとしたら、地元の人から「歯が黒くなる」とのアドバイスをいただいた。
もともとイカ墨料理の好きな私は「注意します」といって、食べはじめた。
富山の人によると、6月頃は、イカの黒作りの美味しい時期ではないとのことであるが、魚に関係する人達のパーティーであったためか、この機会に合わせて作ったようである。
これを肴に富山の日本酒を賞味した。
東京のホテルのパーティーとは違って、豪華な肉料理やフランス料理などがテーブルに来るわけではないが、地元の手作りの名産品に恵まれた一時であった。
ところで、イカの墨のうま味成分には、グリシンやグルタミン酸などのアミノ酸が関与している。
イカ墨は脂質も含まれているので、イタリア料理のイカ墨入りのスパゲッティのように、墨は麺にくっつくのである。
沖縄のイカ墨の汁は、肉や野菜の入った汁にイカ墨が添加されている。
なかなかの珍味で、沖縄へでかけた際には、是非、試すことをすすめる沖縄料理である。
本当は家庭料理がよい。
家庭により作り方が違うからである。
ちなみに、タコの墨には脂質が少ないためか、細切りイカやパスタにつきにくいのである。

                                                        文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 18:01 | 今月の酒の肴
調味料 その35 《調味料の歴史6》
◆飽食時代の調味料◆

日本の経済は、昭和48年のオイルショック到来までは空前の発展をとげた。
この間の所得倍増政策の発表(昭和35年)、東京オリンピック(昭和39年)、イザナギ景気(昭和41年)など多少の起伏はあったが、日本の経済は高度成長し、これに伴い食生活にも著しい改善がみられた。
第二次大戦頃から昭和30年代までは食糧不足で、コメの配給制などの苦しかったあの時代の食生活が遠くのことか、他の国のことのように思うようになってしまった。
昭和40年頃からは食生活が著しく改善され、これまでのコメや小麦粉などの糖質が主体の食生活に、動物性たんぱく質、脂質(植物油やバター、マーガリン)、牛乳(カルシウム)などが導入されるようになり、PFC(たんぱく質・脂質・糖質)のバランスが導入されるようになった。
調味料に関しては、昭和35年頃からグルタミン酸ソーダ(現在のうま味調味料のルーツとなる)、マヨネーズ、ウスターソース、トマトケチャップなどの利用が増えるとともに、生産量も増加した。
調味料関連の種類も多くなり、消費者の欲求に応えられるようになったことが、食生活の贅沢の一因となった。
この食生活の変化に対応し、外食産業が盛んになり、多様化し、調味料も多様化した。食べ歩きを趣味とする人々も目立つようになってきた。
昭和35年には核酸関連物質の調味料も発見され、グルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムとの相乗作用が明らかになると、昭和30年代後半には複合調味料も開発された。
現在の食生活に欠かせない茹で麺やインスタント麺に添付される「つゆ」の開発が行われたのは昭和30年代前半であった。
これに伴い醤油、味噌、各種のうま味調味料の生産量も増えた。
「麺つゆ」の消費量から、食品産業界の景気の傾向も推測できるほどに、麺つゆの消費傾向や生産量の傾向は、景気のバロメーターとして重要な食品アイテムとなっている。
甘味料としての砂糖の消費量は、昭和50年代の異性化糖の開発により減少しはじめた。
さらに、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防からも砂糖の消費量が少なくなった。
食生活の嗜好の変化からマヨネーズの滑らかさが好まれるのか、「どんなものでもマヨネーズをつけて食べる」というマヨラーという人々も目だったことがある。
近年は、家事、家の汚れ、調理法の面倒などから、惣菜店で作られる揚げ物を購入する傾向が目立つようになったといわれている。
この傾向は、調味料としてあるいは健康食としてオリーブ油の利用が増えているが、揚げ油としての食用油の消費が健康にどのように影響するを考えているところである。

                                                        文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 17:13 | 調味料のいろは
調味料 その34 《調味料の歴史5》
◆砂糖の歴史と砂糖の甘味◆

砂糖の原料はサトウキビやサトウダイコンで、サトウキビである。
とくに、サトウキビから砂糖を作る歴史は古い。
日本への砂糖の導入は、754年に中国から鑑(がん)真(しん)和尚(おしょう)によるといわれている。第二次世界大戦前に、沖縄、九州、関西からハワイへ移った人々は、ハワイでは苦しい生活に耐えながらサトウキビを栽培し、砂糖を製造していたのである。
アメリカ・中南米には1492年のコロンブスのアメリカ発見以降である。
1543年には、琉球(りゅうきゅう)(現在の沖縄)ではサトウキビを栽培していて、砂糖の製造は1623年に、中国・福建省の人から学んでいたといわれている。
現在も沖縄、奄美大島がサトウキビの栽培や砂糖の製造する地域としてしられているのは、元禄年間からの歴史があるためである。
砂糖は脳のエネルギーとして重要であるといわれているが、砂糖の摂りすぎは肥満、糖尿病、う歯(虫歯)を引き起こすということから悪者にされることが多い。
最近の和洋を問わず菓子類の甘味は、比較的薄味となり、その薄味になれたためか薄味の菓子が美味しいと評価されることが多くなっている。
砂糖の主成分はショ糖(ブドウ糖と果糖が結合した二糖類)である。
甘味に対する舌での感じ方は、年齢・性別によってだいぶ違う。
大人は1.23%のショ糖液より薄くなると、甘味に対する舌での感じ方は弱くなってくる。
これに対して、子どもの場合は、0.68% のショ糖溶液でも甘く感じる。
すなわち、甘味に対する感じ方は子どもは大人の2倍も鋭敏度が高いのである。
子どもに対する菓子類の砂糖の使用量は、大人向けの菓子類の半分でよいと考えられる。
第二次世界大戦中およびその戦後は、砂糖の入手が難しかったし、贅沢品でもあった。
60~70年前の砂糖を贅沢品であった頃のように、菓子類も贅沢品として取り扱う気持ちがあれば、肥満や糖尿病で悩む人が減るかもしれないと考えられている。

                                                        文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 17:11 | 調味料のいろは
調味料 その33 《調味料の歴史4》
◆塩の発見と信仰◆

調味料の中で最も基本的な食塩は、給料のサラリーsalaryの語源で、ラテン語のsolarium(
Salが塩の意味)であること、日本では万葉集に藻塩の名で登場しているなど、古くから貴重なものであった。熱中症の予防対策で食塩の摂取が強調されているのは、体液の中に含まれる食塩が汗とともに失われるので、NaClの形で体内に取り入れる必要がある。
血液中の水分が減少すれば血液の流れが悪くなるから水の補給も必要となる。
この際、点滴で水だけを血液中に補給したとするため、赤血球が壊れる溶血に伴う症状が現われるので、食塩を加えた「生理食塩水」を補給することもある。
血液中に存在している食塩と同じ濃度の食塩を含む水を摂取することにより汗によって血液中に不足してしまった食塩も水分も血液中に取り入れられるのである。
生理食塩水とは、血液中の食塩濃度は約0.9%であるから、0.9%の食塩を補うのが理想的となる。
この濃度の塩分の味は、私たちが最も美味しいと感じる塩味なのであることも付け加えておく。
塩分濃度が0.9~1.0%のみそ汁や吸い物が美味しく味わえるのは、血液中の塩分濃度と同じであるからといわれているのは、このような裏づけがあるのである。
人間にとって食塩は生命を支配する大切な物質であるため、古くから信仰の対象としても利用されてきた。「清めの塩」は葬儀のときに利用するばかりでなく、相撲の土俵に巻く塩、祭りに塩を撒くのも、神社の神饌に塩を供えるのも、料理店の入り口や会社の玄関に小さな山形に盛り塩を飾るのも清めの意味がある。
昔から塩は大切に取り扱われていた。
昔の人は、「塩は3年にして海に戻る」という言葉を使った。
その理由は塩を誤ってこぼした場合には、塩は3年の期間をかけて塩の源である海へ戻るのだから、こぼした塩は丁寧に水で流すという習慣があった。
塩に関する地名や伝説が多いのは、塩が私たちの生活にとっては貴重なものであったことを証明している。

                                                        文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 17:10 | 調味料のいろは
調味料 その32 《調味料の歴史3》
◆江戸時代以前の調味料の使い方◆

世界的な調味料としては、塩、酢、砂糖が用いられている。
例外として、韓国のキムチ、タイのトム・ヤム・クンなどのようにスパイスが調味料の一端を担っている場合ある。
日本料理の調理では、調味料を使う順序が調理の手法であるとなることがある。
しかし、煮物用の汁やみそ汁や吸い物、鍋物の汁では、前もって各種の調味料を混ぜておくので調味料を使う順序は問題とならない。
このような調味料を使う順序が、調理技術のセオリーのようにいわれるようになったのは、鎌倉時代からである。
中国から禅宗とともに精進料理の原形が導入され、「羹(あつもの)」という野菜や肉を入れた汁料理が普及したことによる。
この味付けに醤油の原形の「醤(ひしお)」から発展した味噌が使われるようになってからである。
平安時代以前は、調理の段階で味をつけをしないで、基本的調理法は「生」「干す」「塩漬け」であり、火を使った調理法は「焼く」「茹でる」「蒸す」「汁にする」といった簡単なものであり、食べるときに、食べる人がそれぞれ好みの調味料をつけて食べた。
この時の調味料は「塩・酢・酒・醤」の4種類で、これを入れた皿を「四種器」といわれ、貴族の宴会料理には欠かせない調味料であり、器であった。
塩は原始時代から海水を煮詰めてつくり(藻塩といい海藻についている海水からも塩を作った)、酢はかんきつ類の搾り汁や酒を発酵して作った。
梅の塩漬けの際に溶出する梅酢が、酸味と塩味の調味料としても使った。
醤には魚や穀物の発酵物が利用されていた。
魚の醤は、魚醤油として「しょつる」「いしる」などがあり、穀物の発酵物が醤油へと変化してきた。

                                                        文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2011-09-22 17:04 | 調味料のいろは



コラムや社内行事の模様をお伝えします。
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