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食のサロン その38 《江戸前天麩羅の話 ⑥天麩羅はお好みで》
天麩羅店では殆どが価格によりいくつかのコースを作って客に提供している。
店に任せる形なので世話無しではある。
店の方で予算に合わせて定番のエビやアナゴに加え季節の魚介や野菜類などを取り混ぜて揚げてくれる。締めはかき揚を天丼にしたり天茶漬けにしたりもしてくれる店もある。
しかしせっかく目の前で揚げてもらうのなら、たまには自分の好のみで食材を揚げてもらうのも良いだろう。
混雑している時は嫌がられるかもしれないが、お好みの注文で客に対応する力量のある店もある。
そう言う店は自分の工夫した揚げ方で提供してくれたり、めずらしい天麩羅種が手に入るとそれを勧めてくれたりする。
私のお好み天麩羅初体験は30年以上も前になるが、新宿の有名店「つな八」であった。
ハマグリの天麩羅は、用意した2個のハマグリを使い一度ハマグリの身を貝殻から外す。
開いてあった貝の両方にハマグリの身を入れて、貝殻ごと衣を付け天麩羅にした物であった。
ハマグリを貝殻ごとあげる事に驚いたがそこに仕事がされている事に感心もした。
他にも珍しい天麩羅を食べて、最後はアイスクリームの天麩羅を頂いた。
江戸前天麩羅として少し邪道かもしれないが、お好み天麩羅ならではの楽しみを味わえた気がした。
揚げ手にとっても、客と対話をしながら天麩羅を揚げる事が出来るので利点もあると思われる。
たとえばプチトマトの天麩羅を揚げて黙って客に出したら、こんな天麩羅はいらないと思う客がいるかもしれない。
お好みなら今日は何処産の良いトマトが入荷していますがお試しになりますか。
こんなやり取りから客が興味を示してくれるかもしれない。
日本橋の天麩羅店「弁慶」はこのトマトの天麩羅を推奨している。
オリジナルや自店で工夫した天麩羅を提供する店は多い。
「柳橋大黒家」では食パンを揚げてウニをソースのようにまとわせるウニパンを提供する。
コースの中の一品であるが店の名物ともなっている。
築地にある「天竹」は天麩羅とふぐ料理を二枚看板としている。
当然のようにふぐの天麩羅が名物となっていて、毎月29日を肉の日ならぬフグの日としてフグ天丼をサービス価格で提供している。
天保8年(1837)創業現在東京で一番歴史の古い天麩羅店とされている浅草の「三定」は、饅頭の天麩羅をデザート感覚で提供している。
色々な店でめずらしい物にお目にかかる機会があり、生ウニを海苔で巻いた天麩羅やフグの白子の天麩羅もことのほか美味である。
いずれにしても店の職人と会話を楽しみながら食べるお好み天麩羅は、天麩羅の醍醐味かも知れない。
その際は好き嫌いや是非は別として、薦められたオリジナル天麩羅を味わってみるのも一興と思われる。

                                                         文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2013-05-23 14:35 | 食のサロン
食のこぼれ話 その36 徳島県 《「たらい饂飩(うどん)」は徳島のご馳走》
かつて徳島市を訪れたとき、徳島県の教育委員会の先生方は、「徳島には特別なご馳走がない」と話していた。
昼食は「たらい饂飩」と質素なものであった。
「たらい饂飩」は、野趣豊かな木こり料理で、河原で大勢が一緒に食べるものであった。
ヤマイモを入れてコシのあるうどんに仕上げたものである。
たらいに浮かして供される。
これをゴリ(徳山ではジンゾクという)のだしと醤油で調製した辛口の付け汁で食べる。
大きな食堂で食べたので、河原で食べるような味わいは経験しなかったが、青葉の頃に河原で賑やかに食べたらより美味しいと感じた。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2013-05-21 14:39 | 食のこぼれ話
食のこぼれ話 その35 山口県 《山口と「かに風かまぼこ」》
山口県は蒲鉾の生産地として有名で、蒲鉾を製造する機械を作っている大手の会社があることで知られている。
その大手蒲鉾機械メーカーが、カップラーメンと並んで、世界的に有名な日本の加工品である「かに風かまぼこ」を作る機械を製造している。
「かに風かまぼこ」の製造方法は、魚肉のすり身の素麺を作り、この素麺を束にしたものの一部を赤く着色し、食べやすい長さに切ったものである。初期の「かに風かまぼこ」の着色は、かまぼこの表面を着色したが、現在はかまぼこを包んでいるものに着色したものが使われている。着色料は、安全性のある天然着色料である。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2013-05-21 14:31 | 食のこぼれ話
食のこぼれ話 その34 広島県 《もみじ饅頭》
広島の名物の「もみじ饅頭」は、カステラ生地で餡を包んだ紅葉の葉の形にした人形焼きのようなものである。
明治40年(1904)に、紅葉の名所の紅葉谷を訪れた伊藤博文が茶店の子の手を見て、「紅葉のように可愛い。焼いて食べたいね。」といったことから、「もみじ饅頭」の名がついたといわれている。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2013-05-13 09:52 | 食のこぼれ話
食のこぼれ話 その33 岡山県 《タイの浜焼き》
江戸時代には、5月のサクラダイ(マダイ)の時期になると、瀬戸内海の沿岸の各地の塩田の塩釜で、マダイの蒸し焼きが行われた。
江戸初期に倉敷の塩田で試みられたのが始まりといわれている。
蒸し揚げたマダイは、伝八笠(甚平笠)とよばれる竹の皮笠に包んで包装する。
現在は、塩田がないから専門の釜で蒸しあげる。

                                                         文責:成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2013-05-13 09:45 | 食のこぼれ話
食のサロン その37 《江戸前天麩羅の話 ⑤野菜天麩羅は季節の味?》
野菜を揚げた物は天麩羅とは言わない。
私の子供の頃江戸っ子はこう言っていた。
魚介類に衣を付けて揚げた物を天麩羅、ナスやニンジン、ゴボウやハスに衣を付けて揚げた物は精進揚と言うんだと教えられた。
確かにそのころ江戸前を売り物にしていた天麩羅店では天麩羅にした野菜の類を食べた記憶が無い。
あっても彩に副える、しし唐位の物だったように思う。
かといって江戸っ子が野菜の天麩羅を食べなかった分けでは無い。
下町には精進揚げの専門店があり揚げた野菜の天麩羅を店頭で販売していた。
家庭でも良く精進揚げを揚げて夕飯のおかずとした物である。
家族が何人かいると私はサツマイモの天麩羅、僕はインゲン、私は椎茸等と好みも別れて食事を楽しんでいた。
要するに魚介類を使った天麩羅と野菜を使った天麩羅は別物として区別していたと言う事らしい。
現在天麩羅店でかたくなにこの伝統を守っている店は少ない。
むしろ野菜の天麩羅を売り物にして繁盛している天麩羅店は多い。
季節ごとの野菜や山菜、キノコ等の天麩羅を食べる事は天麩羅好きの楽しみでもある。
日本料理は季節を大切にするが天麩羅で季節を味わうのもおつな物である。
暖かい地方で採れたフキノトウ、コゴミ、タラの芽等の天麩羅を食べれば一足早く春の訪れを感じる事が出来る。
筍の天麩羅、菜の花やそら豆の天麩羅は春を満喫できる。
夏野菜ならグリーンアスパラからミョウガ、オクラやインゲン、ヤングコーン、最近ではプチトマトを天麩羅にする店もある。
色とりどりのパプリカやしし唐、万願寺唐辛子等も美味しい。
秋を迎えれば嫁に食わすなと言われた秋ナスやほっこりとしたサツマイモの天麩羅も登場する。
高級な処では松茸や各種キノコ類の天麩羅も秋に欠かせない味覚である。
ギンナンやムカゴ、変った処ではアケビやヒシの実、栗や柿を天麩羅にしても美味しい。
冬ともなればクワイやユリ根、セリの天麩羅も食べたい。
堀川ゴボウや万願寺唐辛子、京人参等の京野菜も天麩羅種となる。
そう考えると天麩羅好きは季節ごとの天麩羅を食べなければ一年を過ごす事が出来ないような気持ちとなる。
要するに山菜や野草の類から各種野菜やキノコ等どれも天麩羅種に成らない物は無いと言う事に成る。
「何これ珍百景」なるテレビ番組の中で俳優の岡本信人が一般に知られていない野草やキノコ等は食べられるか検証するコーナーがあった。
必ず天麩羅にしてその植物が食べられることを実証して見せる。
もちろん体に害を及ぼすような物は天麩羅として揚げても無害になるわけでは無いと付け加えて置きたい。
季節が無いと言われる都会では天麩羅店で季節を楽しむのもおつな物と言える。

                                                        文責:青木知廣
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by kosakai_blog | 2013-05-10 18:51 | 食のサロン



コラムや社内行事の模様をお伝えします。
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