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食のこぼれ話 その78・ その79・その80 2015.6.
その78 「地元はホタルイカの生食はしない」

4月~5月に、夜明け前の富山湾の観光は、海上でみるホタルイカ漁である。
まだ明けきらない薄暗に時間に、富山湾沿岸に産卵のために近づいてきているホタルイカを定置網で漁獲する。
そのときに網の中で揺れ動く幻想的なホタルイカが放つ青い光は感動ものである。
何でも生食が美味しいと信じている自称グルメは、生食をして感動の「食レポ」を話す。
ところが、ホタルイカには寄生虫のアニサキスが多く存在しているため、地元の人は茹でてアニサキスを死滅させたものを食べる。
富山でホタルイカを生食すると、地元の人から食べ方を知らない観光客と馬鹿にされるのである。
2015年は北陸新幹線の延伸で、ホタルイカ漁の観光は3月中頃から始めている。

その79 肉食で「生活不活性病」の予防

食肉関係の会議の雑談中に、生産者や小売業者から「今までのA5という霜降り肉は人気がなくなり、赤身肉への志向へとシフトしている。」との話があった。
最近の高齢者が元気なのは、牛肉と赤ワインをたしなんでいるからとの情報も関係しているようである。
テレビでは「認知症」の予防・治療の情報が多くなった。
その前に何事もやる気が起きない「生活不活性病」に気が付き、毎日「肉を食べ、歩き」を適当に続け、神経伝達物質のたんぱく質を摂りいれ、体の細胞内のエネルギー代謝にも刺激を与えることが、元気で長生きの秘訣のようである。
安価な肉を美味しく食べられるように工夫・調理するのも生活不活性病の予防に必要のようである。

その80 「その昔の築地は肉を食べるところだった」

美味しいすしが食べられる街(築地市場の場内と場外)として注目されているが、明治5年の銀座・築地界隈の大火事の後に、一部は西欧人の居留地となり、またいくつかのレストランや西欧風のホテルが建てられた。この時には美味しい西洋料理で知られる精養軒(現在、本社は上野)があった。
現在は、築地は牛丼の街の名残もある。
牛丼で有名な「吉野家」の第1号は、築地市場の場内(魚がし横丁1号館)にある。
吉野家ファンにとっては、この店でしか用意されていない牛丼が魅力である。
アメリカからの輸入牛の入手が難しい時に、大手出版社の編集長が、「吉野家の牛丼が食べたい」と悲しげに話していたことを思い出すこの頃である。

                                      文責:小堺化学工業㈱ 顧問 成瀬宇平
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by kosakai_blog | 2015-07-23 18:53 | 食のこぼれ話
社長の呟き その6 《はし休めー日本橋倶楽部会報より一部抜粋ー》       2015.1~2015.12
『はし休め 2015.1』
倶楽部の大先輩S理事から手締めの一本を「十〆(とじめ)」と呼ぶと教えられた。
「三 三 三 一」と十回手を打つのを一本と数え、三の三倍の九という字の真ん中に一を加えてはじめて「丸く」治まる。
また一回だけ手を叩くのは決して一本ではなく「一丁〆」であると。
中締めで「関東一本締め」などと言いつつ、一丁〆をしてしまう光景に良く出会うが、知らぬこととはいえとんだ恥をかくことになる。
古くから日本橋には本町三本締めがある。
つまり丸が三つ、三十回も手を打つ。
最後のほうには皆の気持ちが合ってくるから不思議なものだ。
因みに外神田の練成中学校跡にできた文化芸術施設「ちよだアートスクエア」は何と粋に「アーツ千代田3331」と名付けられ、先に一本取られてしまう。
会員諸兄も新年から手締めを頼まれる機会が多いと思うが、ここは手が痛くなろうとも十〆をとお願いしたい。
それでは今年もよろしくご愛読のほどを。
シャン・シャン・シャン!
失礼、三丁〆となってしまった。


『はし休め 2015.2』
カナダの青年、ニール・パスリチャが作成した「1000 Awesome things」は世界一のプログ賞を2年連続で獲得した。
「Awesome」は「素晴らしい」という意味で最近若者に多く使われる英語であるが、辛く過ぎ去る日々にも小さな嬉しい出来事を一つ一つ見つけ、1000からカウントダウンして書き込んでいくと、とても幸せな気持ちになれるとういうブログだ。
これが自分ブログとして拡がっているそうだ。
例えばコートのポケットから無くしたと思っていたお金が出てきた、朝のネクタイが一回で綺麗に結べた等々。つまり「徒然なるままに、電子機に向かひて、心にうつりゆく嬉しき事をそこはかとなく書きつくれば、あやしうこそ楽しけれ」と幸せな気分になれる。
愚生にとって今年の初「Awesome」は疲れ果てて俱楽部に辿り着いた時「NバーテンダーとN澤さんが優しく微笑みかけてくれた」こと。
今年の倶楽部にはどんな素晴らしいことが待ち受けているのだろうか!


『はし休め 2015.3』
涙は「悲しみ、怒り、悔しさ、痛み、喜び、感動、笑い、あくび」の時に出てくる。
とくに悲しい時や嬉しい時、つまり感情が高ぶった時には大量に出ることが多い。
その成分は98%の水、約1.5%のナトリウム・カリウム・アルブミン・グロブリン、0.5%のたん白質からなり、弱アルカリ性である。
生化学者のウィリアム・フレイ二世によれば感情による涙はその他の涙より高濃度のタンパク質を含み、感情的緊張によって生じた化学物質を体外へ除去するという。
とすれば、この成分を流し出して悲しみが癒されるなら大いに泣いた方がよい。
未だに行方不明者2,590名、5年目を迎える東北の地では一体どれ程多くの涙が流されてきたことだろう。


『はし休め 2015.4』
パリには終着駅が6つある。
列車は郊外からそれぞれ方面別の駅に着くなり、始発として新たな乗客と出逢い本線へ戻って行く。
幼い頃、両国駅で蒸気機関車に乗り換え、千葉へ海水浴によく行ったことを思い出した。
周辺には相撲部屋が多いが、ちゃんこ料理には決して地面に手をつかない二本足の鶏肉のみを使うというのはゲン担ぎ。
房総方面からの終着駅であったため千葉県産の良質な鶏肉が両国駅に多く集まったことにも因るようだ。
先月上野東京ラインが開通し、宇都宮、高崎、常磐の各線で上野駅乗換えが無くなり便利になったが、ただの通過駅になってしまった。戦後の高度経済成長期、集団就職列車で郷里からの終着駅、そして人生の始発駅として上野駅に初めて降り立った世代にとっては淋しいことに違いない。


『はし休め 2015.5』
“蝶々結び”は母親から習った方が多いのではないかと思う。
ときおり自分の結び方に、後ろ脚の少し長いおふくろの味付けであることを自覚する。
あの日、暖かい縁側で背後から包むように結び方を教えてくれた母の指の温もりが甦る。
靴を履くたびに亡き母を思い出すほど孝行息子ではないが、私の手元をイタズラっぽく覗き込む優しい笑顔が目に浮かぶ。
五月第二日曜日は母の日。
電話やメールの向こうの顔を探ったり、思い出に浸りながら線香を手向ける方も多くいるだろう。
その点、 “蝶ネクタイ”の結び方すら知らない小欄は来月の父の日でも振込め詐欺すら縁がない!

『はし休め 2015.6』
山高帽とステッキ姿の英国俳優が愛してやまなかった明治20年創業の元祖御座敷天婦羅屋がかつて濱町にあった。
大鳥居駅近くの住宅街にわけあって移転したその店を数年前に訪ねたことがある。
コース料理の〆の頃、店内の写真に恐る恐る話を向けると寡黙であった老店主の口から写真の主と日本橋の思い出話が堰を切ったように流れてきた。
1932年以来4回の来日の度に濱町の店まで訪れた大スターの日本贔屓は運転手として雇った米国移民の日本人の影響と言われている。
のちに秘書にまで登りつめた高野虎市の献身的な働きはチョビ髭とドタ靴スタイルで人々を魅了し続けた喜劇王の心を捉え、帰国した元秘書に米映画配給会社・日本支社長の地位まで用意させた程であった。
1971年虎市は広島で、チャップリンは1977年クリスマスの朝スイスにて永眠している。
日本橋區濱町は、1906年竣工の初代日本橋倶楽部會館があった所。
日本橋界隈と著名人、ちょっと迷い込んだ路地裏でさえ、あのステッキとドタ靴の音が聞こえるようで奥深い。

『はし休め 2015.7』
世間では土曜の夕食はビフテキかスキ焼が定番なのかと幼い頃、羨ましく思っていた。
「土用丑の日」今夏は7月24日と8月5日と2回ある。
そもそも夏以外にも「土用の日」があり、「土用丑の日」は年間数日あるそうだが、平賀源内の発案が功を奏したのか売れなかった夏に滋養供給で人気となり、本来脂の乗った美味しいはずの冬に売れなくなってしまったのは皮肉なことだ。
鰻家が集中する浜名湖畔にある天然鰻のみの「さくめ」では “背を開き、蒸さずに焼いた”鰻を食することができる。
武家の多かった江戸では切腹を嫌い、背を裂いて蒸し、関西は腹開きで蒸さずに焼く。
この地域は丁度その食文化の境目のようだが、さすが美味い食材には色々な食し方があって嬉しい。
現在、絶滅危惧種に指定されてしまった鰻、店に入ってから価格を見て“ドウヨウ”しないようにと今から近大の“ナマズ” 蒲焼ならぬ固唾を飲んでいる。 

『はし休め 2015.8』
八月は昔から「二八」(にっぱち)と呼ばれ、二月とともに商いが冷え込むと言われる。地獄の閻魔大王でさえ釜の蓋を開けて休むそうだが、口八丁手八丁、八方美人、“8”は横に寝ても “∞”(無限大)などと数字は暑い。
末広がりの“八”は富士山の姿に似て、日本人が好むのかもしれない。
太陽光は地球に届くまでに8分程かかる。
この日射との闘いの舞台でもある夏の甲子園は第一回全国中等学校優勝野球大会から数えて100周年を迎える。
球児達は今大会も“ハチ”切れんばかりの元気を見せてくれるだろう。

さて、お盆で自宅へ還られる物故会員には倶楽部バーまでちょっと寄り道して頂き、毎月“ハチ”まき姿で苦闘する小欄への助言もお願いしたいものだ。

『はし休め 2015.9』

「秋刀魚」文字通りの体形を有するこの魚はたっぷりと餌を喰らい、産卵のため南下する途中、脂の乗ったその身を三陸で水揚げされる。
落語「目黒のさんま」に因んだ祭りが二つある。

「目黒のさんま祭り」(今年の開催は96日)は目黒駅東口の品川区側で宮古からの六千尾と徳島産のすだち一万個を、「目黒のSUNまつり」(同920日)は目黒駅西口の目黒区側の公園で気仙沼からの五千尾と大分県産のカボスを無料で振舞う祭りだ。秋刀魚は過去何十年も無料で産地から送られてきたが、東日本大震災の際、三陸のこの二市は被災しながらも絆を絶やさぬよう大変な苦労をして集めたと聞く。「さんま苦いかしょっぱいか」は佐藤春夫の詩だが、その年の秋刀魚はさぞかし苦く、涙味の利いたものになったことだろう。さて、今年も涙を煙のせいにして、殿はいざ目黒へ!


『はし休め 2015.10』

「樂」は巫女が鈴を持って舞う姿。古代より穢れを祓い、霊を鎮め、疫病を祓う儀式は人々を「楽」にする重要なものであった。それらに使われた生薬は自然界に薬効を見出された植物、動物、鉱物由来のもの。とくに畑で計画的に育種することができる薬草は神の力を示威するために秘薬の如く扱われた。

「樂」が草(草かんむり)を掲げてお祓いをすると「藥」・・・。これは全く小欄の戯言であるが、江戸時代に生薬は薬種問屋を通じて日本全国に瞬く間に流通していく。

「三丁目 匂わぬ店が 二、三軒」という川柳があるほど、日本橋本町、室町、本石町三丁目には古くから薬種商が集まっており、大坂道修町とこの地域は東西の薬の発祥地と並び称される。例年1017日(本年は16日)の「薬祖神祭」には毎年三千人ほどが参拝するが、来年より神殿が「福徳神社」と同敷地の鎮守の森の一角に遷座されるため、本年が現在の地では最後の祭事となる。続く1920日の「べったら市」の匂いとは全く違う、かつて町中を覆いつくしていた「にほひ」に想いを馳せつつ、訪れてみてはいかがだろうか。


『はし休め 2015.11』

先月は生理学・医学と物理学、2部門のノーベル賞を日本人が受賞して大いに話題になったが、人々を笑わせ、考えさせる研究に与えられる「イグ・ノーベル賞」も10月に発表された。
本家を上回る60人ほどの日本人が過去その栄冠を手にしているが、本年の医学賞授賞の木俣医師のテーマは「キスはアレルギー反応を和らげ、長い時間し続けると病気にかかりくい」という何とも嬉しいもの。

60年前の10月、24歳で駆け足の人生を閉じたジェームス ・ディーン、生きていれば素敵なキスシーンを魅せてくれたに違いない。

路チューは外国人や若いカップルだけの特権ではないが、違反切符も切られずに、アレルギーを克服できると“ジミー”になったつもりで、スキあらばキスに挑むと翌朝左頬を腫らすことになるかもしれない。
1122日はいい夫婦の日、この効能は是非ご自宅で検証されたい!


『はし休め 2015.12』

本年も残すところ1ヶ月、喪中葉書が寒風とともに届く頃となった。来年は「申」年だが、干支の中で唯一「辰」が想像上の動物である。

動物は一般的に「匹」か「頭」、民話の中で竜も「匹」と数えられようだ。また兎は1羽,2羽と一見不思議だが、仏教で肉食が禁じられていた昔、許されていた鳥肉と同類として食することができるようにしたと言う説に納得がいく。少し“はずれる”が、ギャンブル好きは馬を1着、2着と数えるらしい。

小欄が今年、“羊が1名(メェー)・・・”と敬意を表していたのは不眠症であった為では無い。

さて猿は「匹」「頭」、どちらでも良いようである。来年も倶楽部では1宴(エン)2縁(エン)たまには艶(エン)と友を増やしていきたいものだ。どうぞ良い年をお迎えください。





                        文責:小堺化学工業㈱ 日本橋倶楽部広報委員長 小堺 裕一郎


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by kosakai_blog | 2015-07-15 18:34 | 社長の呟き
食のサロン その63 《江戸・東京 食事情 ⑦ かつ》2015.7

江戸時代から伝わるわけではないが明治以降東京人に指示され続けている食品にトンカツがある。
トンカツは日本人が工夫して作られたとされその意味では和製洋食と言うジャンルになるのだろうか。
豚肉にパン粉を付けてフライするコートレットにヒントを得て天麩羅のように油の中で泳がせるように揚げたのがトンカツの始まりと言われている。
「喜劇とんかつ一代」と言う映画の中で森繁久弥演じる主人公がトンカツの始まりはポンチ軒と話すシーンがある。
このトンカツ発祥の店が東京上野にあったポンチ軒と言うのが広く伝わる話であり、そのせいか上野にはトンカツの美味しい店がそろっている。
その中でも、本家「ぽん多」「双葉」「蓬莱屋」が特に有名でトンカツ御三家と呼ばれている。
これに井泉本店を加えて四天王と言う人もいるらしい。
本家「ぽん多」はロース肉の脂身を取り除いた後肉をたたいて柔らかくして揚げる。
「双葉」は厚切りのロースカツで食べ応えがある。
「蓬莱屋」はヒレカツの元祖とも言われ大きなヒレカツが名物である。
小津安二郎の名作映画「さんまの味」に登場するトンカツ店はこの店と私は思っている。
井泉本店はカツサンドを最初に作った店と言われている。
かつてコロッケが庶民のおかずの定番だった頃、トンカツは憧れの食べ物であった。
子供の頃揚げたてにたっぷりのソースを掛け、山盛りのキャベツと共に食べるトンカツは最高のご馳走だったように思う。
上野の隣浅草にもトンカツの名店は多い。
元祖焼きカツの桃太郎。
東京で最も古くヒレカツを作ったと言われる「きた八」。
肉と肉の間に色々な物を剪んで揚げる変わりカツの「カツ吉」。
多くのフアンを持つ「ユタカや杉田」。
今は閉店してしまったが映画「男はつらいよ」のロケにも使われたナタ切りトンカツの店も懐かしい。
その他都内の有名店は、目黒の「とん喜」、新宿の「王ろじ」、名を上げればきりが無い程である。
最近は薄くスライスした豚肉を重ねて、パン粉を付け揚げる店もある。
「鹿児島産黒豚」、「東京
X」や「三元豚」等銘柄豚を使ってのトンカツも評判が良いようである。
トンカツ専門店ではないが銀座にある「レンガ亭」は、ポークカツレツの元祖として知られる洋食店である。
銀座と言う土地柄ハイカラな洋食店として知られている同店だが、実は
3階には座敷があり、そこで座ってカツレツを食べる常連客も多い。
カツを使ったドンブリ物としてカツ丼も日本人に愛される国民食である。
早稲田にある「三朝庵」と言う蕎麦店がキャンセル等で冷めてしまったカツを、蕎麦汁で煮て温め卵を溶いて丼にして出したところ評判を呼んだのが始まりとされる。
そんな経緯がある為かカツ丼はトンカツ専門店のメニューでもあり、蕎麦屋のメニューの定番でもある面白い食べ物と言える。
カツ専門店のカツ丼としては銀座の「梅林」や新橋の「燕楽」等が美味しい店として知られている。

取調室で刑事が腹は空いてないかと、出前のカツ丼を食べさせてあげると犯人のかたくなな心が和らぎ、思わず犯行を自供してしまう。
そんな話は昔の刑事ドラマにありがちなシーンであり、今もバラエティ番組のコントなどにもよく登場する。
もちろんフイクションであり、視聴者はあり得ない話と思っていても変に納得させられてしまう。
カツ丼と言う食べ物の持つ不思議な魅力なのかもしれない。

※上野の「双葉」は廃業となっています。

                        文責:小堺化学工業㈱ 営業部長 青木知廣


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by kosakai_blog | 2015-07-11 21:26 | 食のサロン



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